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天文関連

超新星 SN 2024gy

先週金曜の夜は色々な実験も行っていましたが、もちろん本命の撮影も行っています。本当の本命はまだ処理中ですが、もう1つは処理が終わりました。 おとめ座の系外銀河NGC 4216に出現した超新星 SN2024gyです。 このSN 2024gyは今年1月4日、板垣公一氏が発見…

SQM値を測ってみた Ver. 2024

先の金曜日は、WindyでもSCWでも終日快晴の予想。ちょうど新月と重なって絶好の撮影日和だったので、いつもの公園に出撃してきました。 ところでこの日、西の低空にやや緑がかった青白い雲がたなびいているのを目撃しています。「夜光雲」っぽいちょっと妙な…

光害のスペクトルを撮る Ver. 2024

以前、回折格子と手元にあった廃材とで簡易分光計を製作し、光害のスペクトルを撮影してみたことがありました。hpn.hatenablog.com この時は、意外と蛍光灯由来の光害がまだまだ残っていて、伝統的ないわゆる「光害カットフィルター」はまだあった方が良さそ…

「つるばみ色のなぎ子たち」を検証してみた

映画「この世界の片隅に」などで有名な片渕須直監督の最新作、「つるばみ色のなぎ子たち」のパイロットフィルムが昨日公開となりました。 「枕草子が書かれた千年前の京都を舞台に、清少納言が生きた日々を描く」とのことで、片渕監督ならではの丁寧な時代考…

丹羽雅彦氏の個展「時空を超えた贈りもの —宇宙は不思議で美しい—」訪問

現在、南青山で開催されている丹羽雅彦氏の個展「時空を超えた贈りもの —宇宙は不思議で美しい—」にお邪魔してきました。 氏は「PixInsightの使い方 [基本編]」の著者としても有名な方で、X(旧Twitter)やブログを通じて多くの有用な情報を発信しておられま…

超新星SN 2023ixf

去る5月19日、おおぐま座の系外銀河「回転花火銀河」ことM101に超新星が発見されました。発見者は「新星ハンター」として世界的に有名な板垣公一氏で、氏にとって実に172個目の超新星発見となります。 超新星は見る見るうちに増光し、アメリカ変光星観測者協…

ステラナビゲータ12 簡易レビュー

2019年に「ステラナビゲータ11」(以後SN11)が出て以来、4年ぶりのメジャーバージョンアップとなった「ステラナビゲータ12」(以後SN12)。アップグレード版を早速購入したので、ごく簡単に、かつごく限られた範囲ですがレビューしてみたいと思います。 な…

皆既中の明るさについて

今回の皆既月食ですが、Twitter上などを見てみると、皆既中の月の明るさが暗かったと感じた人が多かったようです。実際、自分も肉眼で見上げてみると、過去の月食に比べてやや暗いような印象を受けました。 皆既中の月の色を評価する基準としては、フランス…

皆既月食&天王星食

8日は事実上今年最大のイベント、皆既月食&天王星食の日でした。幸い、晴れた地方も多く、楽しまれた方も多かったようです。 こちらもこの日は、台車に機材を満載して3kmちょっと先の河川敷へ。持って行った機材は以下の通り。 ・ビクセン ED103S+Canon EO…

月食に向けて

8日はいよいよ皆既月食&天王星食。幸い、天気もよさそうで、絶好の観望日和になりそうです。 というわけで、メインになる予定の機材を仮組してみました。 メイン鏡筒にED103S+SDフラットナーHD、サブ鏡筒にMAK127SPを同架しています。鏡筒&カメラ自体の重…

惑星状星雲の大きさ比べ

昨日のエントリーで「NGC7027がちっちゃい」という話をしました。 hpn.hatenablog.com とはいえ、じゃあ実際のところどのくらいの大きさなのか、というのは、数字だけではなかなか実感がわきにくいと思います。そこで、過去に撮影した写真の縮尺を合わせ、1…

【追記あり】ひまわり8号からの画像

先日、こんなツイートを見かけました。 今日の11時。Yahooの衛星画像(左)とSCWの観測画像がなんでこんなに違うのだろう。。 pic.twitter.com/v30nYYtQFd— 黒・天リフ (@black_tenref) August 12, 2022 この両者の違いですが、簡単に言ってしまえば「利用し…

自宅付近のSQM値を測ってみた

先日、だいこもん (id:snct-astro)氏が普通のCMOSカメラを用いてSQM値を取得する方法を紹介されていました。 snct-astro.hatenadiary.jp SQMというのはUnihedron社製の測光装置「Sky Quality Meter」のことで、夜空の明るさを「1平方秒あたりの等級」で表示…

あれから10年も この先10年も

ついうっかり忘れていたのですが、この夏で、天文趣味に復帰してから丸10年になりました。実際に経ってみると、10年などというのは本当にあっという間です。 この10年の間には、機材などの進歩に加え、使っていた観測地が潰れたり、母親が脳内出血で倒れて介…

低品質YouTube動画の憂鬱

TwitterのTL上(天文関係にめちゃくちゃ偏ってますが)で、とある動画が悪い意味で話題になっていました。 ↓これです。www.youtube.com うっかり再生すると、再生数上昇の片棒を担いでしまうことになるのでお勧めしませんが……とにかくこれが酷いのです。 動…

『先人に想う』に想う - 19世紀末に現れた驚異(?)のアマチュア天文家

先日、Lambdaさんが上げたこの記事を読んで、ふと思い出したことがあったので、とあるアマチュア天文家についてつらつらと。m-lambda.blogspot.com なお、Lambdaさんは「先人に想う」と題して、過去の優秀な天文学者に焦点を当てて記事を書かれているので、…

光害のスペクトルを撮る

最近、近赤外+カラー画像による銀河のLRGB撮影にはまっているわけですが、ここで悩ましいのが「カラー画像に光害カットフィルターを使うべきかどうか?」という点です。 先日のM51の撮影において、UV/IRカットフィルターのみで撮ったら思いのほか色の乗りが…

祝・星ナビ掲載! その2

花粉症でダルダルしている今日このごろですが、本日(3月5日)発売の「星ナビ」4月号に……ウチのサイトが掲載されました!!……って、これまた写真入選とかじゃないのですが(^^; 「星ナビ」読者にはおなじみ、リレー企画である「ネットよ今夜もありがとう」の…

ネオワイズ彗星(C/2020 F3)格付けチェック

今回、みんなの耳目を集めたネオワイズ彗星(C/2020 F3)ですが、「立派な大彗星!」、「見えたけど思ったほどではない」、「そもそも天気が悪くて見えない orz」など、様々な声が聞こえてきます。 話題のネオワイズ彗星。昨夜観察された方も多いのではない…

ネオワイズ彗星(C/2020 F3)

1997年のヘール・ボップ彗星以来、北半球では長らく、見やすく明るい彗星が現れませんでした。しかし昨年末~今年前半にかけて、最近にしては珍しく、非常に明るくなるのではないかと思われる彗星が次々と現れました。 まずは2019年末に現れたアトラス彗星(…

【悲報】アトラス彗星(ほぼ)終了のお知らせ

先日、アトラス彗星の挙動が不穏だという話題を取り上げましたが、海外からの報告で、どうやら核が分裂してしまったのは確かなようです。 www.astronomerstelegram.org さらにラ・パルマのリバプール望遠鏡(口径2m)での観測でも、核が3.5秒角に伸びており…

【速報】アトラス彗星がピンチ!?

久々の大彗星かと期待されているアトラス彗星ですが、少し心配なニュースが飛び込んできました。 Comet C/2019 Y4 (ATLAS) should be brightening. But my last 3 observations show some fading, not a good sign. pic.twitter.com/tVXtmdkV3t— Terry Lovej…

アトラス彗星近況

5月に明るくなるのではないかと期待されているアトラス彗星(C/2019 Y4)。発見以降、異常ともいえる速度で明るさを増していましたが、3月半ばくらいから増光の速度が明らかに鈍ってきました。 鈍ったタイミングは、彗星が太陽から1.8天文単位(au)にまで近…

「恋する小惑星」を検証してみた 第12話【最終回】

3か月間追いかけてきた「恋アス」も、ついに最終回を迎えました。この検証記事のシリーズも今回がラスト。第11話から引き続き、濃い天文ネタが満載ですが、気合を入れていきましょう。今回も長いです(^^; 「きら星チャレンジ」2日目の昼は勉強会からスタート…

「恋する小惑星」を検証してみた 第11話後半

さて、昨日に引き続き、第11話の後半戦です。前半パートを未読の方はこちらへどうぞ。 hpn.hatenablog.com 後半はいよいよみら達が小惑星探索に乗り出します。またしても天文ネタが山盛り満載なので、果たしてどれだけの分量になるか……。さっそく見ていきま…

「恋する小惑星」を検証してみた 第11話前半

いよいよ今回からは「きら星チャレンジ」。最終回に向けて一気に盛り上がってきました。モロに天文関連のイベントだけに、ネタは盛りだくさん。それだけに、一般にはあまりなじみのない用語なども頻発してましたので、そのあたりを含めて検証、解説していき…

「恋する小惑星」を検証してみた 第10話

新入部員2人が加わりスタートした新生地学部、今回は1年生の加入から新歓、そして夏の「きら星チャレンジ」まで一気に駆け抜ける回でした。ちょうど1年前(第2話)、みら達がもてなされる側だった新歓バーベキューを、もてなす側として追いかけることになる…

「恋する小惑星」を検証してみた 第9話

春は別れの季節。今回はそんな情景を描いた回でした。特に「面倒見のいいお姉さん」といった感じだったモンロー先輩が、こんなに部活をちゃんと楽しめていたんだ、と改めて気づくシーンには涙。登場人物、みんな不器用すぎだろ(泣 さて、今回は別れにスポッ…

明るくなるか?ATLAS彗星(C/2019 Y4)

【追記 2020/04/01】こちらの光度予測は古い情報です。最新の光度予測についてはこちらをご覧ください。 ここ数日、ATLAS彗星(C/2019 Y4)が明るくなるのではないかという話題がTwitterのTLをにぎわせています。直接のきっかけはこれですかね?We may have …

「恋する小惑星」を検証してみた 第8話

桜先輩の問題を扱った第4話~第5話の頃から心理描写が目立っていた本作ですが、今回は実にエモい回でした。元気に突っ走るけど、ときに周りが見えなくなりがちなみら、遠慮がちで困ったことがあっても自分で飲み込んでしまうあお、小さなところに気が付き、…