早いもので、今年ももうあとわずか。年々、年末という感慨が薄れている気がするのですが、これも歳のせいでしょうか……(^^; ともあれ、今年も色々ありました。軽く振り返ってみましょう。
今年はあまり機材には投資せず、手持ちのもので色々と撮り方をチャレンジした年でした。まず、大きな衝撃だったのが近赤外での撮影です。
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ウチのメインカメラはASI2600MC Proですが、そのプロテクトウィンドウは残念なことにIRカットフィルターになっています。その前まで使っていたEOS KissX5 SEO-SP3も、クリア仕様ではなく「IDAS UIBAR-III」相当のUV/IRフィルターが組み込まれたもので、いずれにせよ近赤外撮影には全く向きません。
唯一、手持ちの機材の中で近赤外撮影に使えそうなのは、惑星撮影用のASI290MM/MCのみ。豆粒センサの上に非冷却なので、写りは全く期待していなかったのですが、ASI290MMに近赤外フィルターをつけ、ASI290MCとの組み合わせでLRGB撮影を行ってみると、思った以上にしっかりした写りで驚きました。センサーが小さい分、光学系も小型で済み、「春の銀河祭り」の敷居が大きく下がりそうです。
もうひとつのチャレンジ……というか取り組みは、Hαナローバンド画像とのブレンドです。
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これ自体は珍しくもなんともないのですが、今までは面倒くさくてやっていなかったのです。しかし、試してみると当然というかなんというか、効果は絶大。天体によって向き不向きはありますが、選択肢のひとつとして引き出しを持っておくと重宝するかなと思いました。
というわけで、今年撮った(仕上げた)天体写真は以下の19枚。


例年以上に少ないですが、上記のような撮影方法は時間がかかるのでやむを得ない部分はあります。「連装砲」にすれば時間短縮も狙えるのでしょうけど……先立つものがorz
その他、個人的に印象的だったものとしては、光害のスペクトルを撮ってみた企画。
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回折格子以外、ほぼ「ゴミ」をまとめて作った簡易分光計でいつも撮影に使っている場所の光害を調べてみたところ、想像以上に蛍光灯の影響が大きく残っていました。LPS-D2など、従来型の光害カットフィルターもまだまだ有効であることを、はっきり確認できたのは大きかったです。
また、今年は6月に「天文リフレクション」さんから招待される形で「都会で撮る“ノーマル”天体写真」と題し、都心からの天体撮影について講演させていただきました。
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幸い、ある程度の好評をいただいているようでホッとしています。配信時は、トラブルに見舞われてお聞き苦しいところもあったとは思いますが、天リフ編集長様およびご聴講いただいた方々、本当にありがとうございました。
次に今年買ったものですが、年末に駆け込みで買ってしまったASI533MC Proがめぼしいところで、純粋に天文系の買い物というとこれくらいです。
あとは、9月にNASと大容量HDDを買ったくらいでしょうか。
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天体写真……特に惑星の撮影などをやるとストレージ容量をバカ食いするので、HDD容量はいくらあっても足りない感じになります。今回は8TB×2から12TB×2の容量アップ。これでまた数年は持たせられると思います。
最後に、今年アクセスの多かった記事トップ10です。
- 光害カットフィルターのスペック一気比較
- 「ターコイズフリンジ」が見える仕組み
- 国内で簡単に入手できる望遠鏡一覧(口径6cm以下~10cmクラス編)
- イメージングソフトの選定
- Sky-Watcher MAK127SP簡易レビュー(外観編)
- 低品質YouTube動画の憂鬱
- SG-3500のバッテリー交換
- PHD2マニュアル更新(v2.6.5対応)
- 光害カットフィルターの比較
- PoleMaster使用説明書
やはりレビュー系の記事は強いという印象です。
1位と9位には光害カットフィルターの話題が。需要は多い一方、この手のフィルターのまともな比較記事を天文誌であまり見かけないので、そのあたりで参照されているのかなと思います。というか、手間も金もかかるし、本当はこういうのこそ天文誌でやってほしいのですが……。
2位は、皆既月食があるといつも爆発的にアクセス数が増える記事で、今年は5月26日の皆既月食と11月19日の「ほぼ皆既月食」が効いた形かと思います。「ターコイズフリンジ」でググると、かなり上位にこの記事が出るので、その影響が大きいのでしょう。
3位は、GW中に暇に任せてまとめた望遠鏡の一覧。口径10cm超のものについての記事も14位に入っていますが、アクセス数にして実に1.5倍の開きがあり、大きさや価格面から小型鏡筒にやはり人気が集中するのでしょう。中華勢が魅力的な鏡筒を次々出してきたのも大きいと思います。
4位はちょっと意外なところ。天体用CMOSが普及してきた影響でしょうか?たしかに、Twitterなど見ていると、最近は最初から天体用CMOSカメラに手を出す人が多いような印象もあります。デジカメがどんどん高額化しているというのもありますしね……。ちなみに、上記記事はあくまで当時のもので、現在はバージョンが上がるなどして改善されているものもあります。
5位も意外で、なんでこの時期にMAK127SPのレビュー記事だけアクセス数が上がったのか、想像がつきません。どこかで紹介されたんでしょうか……?*1
6位は、この夏に物議をかもした動画の話題。最近はYouTuberと組んで販促するケースも大きく増えましたが、相手によっては大きなリスクを抱えることになります。このケースの場合、販促というわけではないのですが、会社の取締役が出てきている割に内容が「アレ」だったので炎上した次第。会社名を出すならもう少し慎重になってほしかったところです。
あとは、まぁまぁ定番の記事でしょうか。SG-3500のバッテリー交換の記事がランキングに残ってるのは面白いところで、おおかた5年以上前に買ったバッテリーがぼつぼつダメになってくる頃合いなのでしょう。今ならリチウム系のバッテリーに走りそうなものですし……。