PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

ブラックミスト プロテクター試写

前回の続き、金曜日にやった実験の2つ目です。
hpn.hatenablog.com


散開星団の撮影は、「撮りやすさ」の割にきれいに仕上げるのが難しいもの。というのも、特に最近の高性能鏡筒だと星の光がきれいに1点に収束するため星像に色がつかず、ただの「白い点」がパラパラと散らばっているだけの恐ろしく地味な写真になってしまいがちなのです*1


ここを補うのが、光を適度に散らす「ソフトフィルター」の存在で、うまく使えば味気ない散開星団の写真が一気に華やかになります。その効果は過去に何度か示しています。
hpn.hatenablog.com
hpn.hatenablog.com
hpn.hatenablog.com


ただ、ソフトフィルターの効果は焦点距離が長くなるほど強くなるため、特に望遠鏡に取り付けて使うことを考えると、かなり弱めのソフトフィルターが必要になります。今、手元にあるソフトフィルターで効果が最も弱いのは「プロソフトン クリア」ですが、これだと焦点距離200~300mm@APS-Cくらいなら適正なものの、例えばED103S+SDフラットナーHD+レデューサーHD(焦点距離624mm)と組み合わせると、効果がやや過剰なきらいがあります。
www.kenko-tokina.co.jp


そこで、もっと効果の弱いフィルターとして目を付けたのが、昨年発売された「ブラックミスト プロテクター」です。
www.kenko-tokina.co.jp




このフィルターは「ブラックミスト No.5」のさらに1/2の効果ということで、ソフト効果は極めて控えめ。ここまで効果が弱ければ、上記のような超望遠域でも使い物になるかもしれません。


そこで、これを購入して望遠鏡に取り付け、さっそくテストしてみることにしました。


対象はペルセウス座のM34。先月、「プロソフトン クリア」を用いて撮影したばかりの対象なので、効果を比較するにはうってつけでしょう。撮影条件は、フィルターを除いて前回と全く同じにしてあります。


こうして撮影した画像に対し、全く同じようにダーク引き、フラット補正、ストレッチを行って*2出てきた結果がこちら。




結果は一目瞭然で……ものすごく地味な画像が出来上がりました!orz


実は「ブラックミスト プロテクター」も、元画像を拡大してよーく見ると効果がまったくないわけではなさそうなのですが、ソフト効果が控えめに過ぎます。もっと強烈に明るい星が対象なら結果も違うのかもしれませんが、少なくとも普通の散開星団を撮る上では、ほぼ役に立たないと言ってしまって良さそうです。



……
…………
………………で、どうしよう、これ? (´・ω・`)

*1:昔の銀塩写真と異なり、デジタル機材ではイラジエーション(フィルムの乳剤層で光が拡散し、光源の周りに「光のにじみ」が発生する現象)が起こらないというのも大きいです。

*2:それ以外の色彩強調処理などは行っていません。