PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

本年撮り収め

今年はとにかく、終始天候に悩まされた感のある1年でしたが、年末年始はどうやら穏やかな晴天に恵まれそう……ということで、28日の夜、日没を待っていつもの近所の公園に出撃しました。

今回は、宵のうちはペルセウス座の散光星雲「カリフォルニア星雲」ことNGC1499、そして夜半前からはいっかくじゅう座の「ばら星雲」を取る予定で機材を準備しました。いずれも以前撮ったことのある対象で、特にカリフォルニア星雲は今年の1月に撮影しています

ただ、ちょうど夏ごろに、都心で星雲を撮影、処理する「勘所」のようなものをある程度つかんだ感触があったので、それを確認する上でいいベンチマークになるでしょう。


この夜の空の透明度は、まずまず*1といったところ。そのかわり気温が低く、20時には都心のアメダスで4℃台をマークしていました。カメラのノイズ的には大歓迎の気温ですが、吹きさらしの屋外にいるこちらはたまったものではありません。防寒靴をはじめ、それなりの防寒装備はしているつもりでしたが、この季節はもう一段上の装備をしないとダメなようです。



撮影直後の画像を見てみると、かすかながら星雲の最も濃いところが見えています。以前撮影した時と比べるとややマシな写りで、「あえて設定感度を下げて露出時間を稼ぐ」という夏以降の戦略がうまくいっているように思えます。デジカメの「感度設定」は見かけだけで、実態はカメラ内部でのシグナル増幅率の違いだと分かっていても、ISO100まで下げるのはさすがに勇気がいりましたが……(^^;

ともあれ、途中、カメラのバッテリー切れなどに見舞われたものの、23時頃には予定していたコマ数を撮影終了しました。

次いで、望遠鏡をばら星雲に向けて撮影開始。設定はカリフォルニア星雲のものをそのまま使用します。



こちらは、星雲自体が比較的明るいことと、方角的に光害が多少マシなこともあって、撮影直後からそれなりに星雲の姿が見て取れます。俄然やる気が出てきます。


ところが、0時半を過ぎたころから急に雲が増えてきて、それから30分ほどで完全に曇り空になってしまいました。事前にGPVで確認していた通りではあるのですが、予定枚数の半分のコマしか確保できなかったのが処理の段階でどう出るかです。


帰宅後にダークフレーム、翌日にELシートでフラットフレームを撮影し、あとはゴリゴリと画像処理。そうして出てきたのがこちら。



2016年12月28日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出600秒×16コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

まずはカリフォルニア星雲です。

撮影場所は北側に渋谷・新宿を控えているため、北天は極度に光害がひどくて天頂以北の被写体は猛烈なカブリに悩まされることが多いのですが、これもご多分に漏れず、背景は傾斜しているわ周辺減光は目立つわで、なかなかにひどい有様でした。

が、そこをなんとか根気と力技でねじ伏せました。星雲の方はさすがに粉っぽさを感じますが、露出不足が目立った前回よりも良い写りで、ある程度鮮やかな色も出てくれました(露出が足りないと濁った褐色になりがち)。とりあえず、1年間の成長は多少はあったかなという感じです。



2016年12月28日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出600秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

一方、こちらはばら星雲。これも以前撮ったものと比べると雲泥の差です。ようやく「ばら」の名にふさわしい鮮やかな姿を捉えることができました。コンポジット枚数が予定より少なかったのでどうなることかと思いましたが、1コマにしっかり写っている分、強調処理も比較的控えめで済み、思ったほど影響は出ませんでした。このクラスの天体なら、8コマあればとりあえずはなんとかなりそうな感じです。


なお、この翌々日、30日にも出撃しているのですが、こちらはまだ画像処理が終わっていないので成果物はまた後日。

*1:それでも最微等級は3.5等いってないと思います。