PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

今年もいろいろありました

一応大晦日なので、お約束として今年1年を軽く振り返ってみようと思います。

1月

まず今年最初の撮影は、上記エントリでも触れたカリフォルニア星雲でした。

このとき「ライトフレーム、フラットフレームともに現像後に三色分解し、それぞれのプレーンに対してガンマフラットを行った後に再合成」という手順を初めて行っています。現像を行ってしまうとベイヤー配列の画素間で補完処理が行われてしまうため、画素レベルで見ると厳密には正しいフラット補正にならないはずなのですが、「全体として見たときに色ムラが目立たないから、まぁいいか」という結果オーライの便法ではあります。

それでも、都心のように光害カブリが強烈でフラットフレームを合わせこむのが難しい場合、1つの方法だろうと思います。

2月

2月は、CP+に出かけて新製品等の情報を色々と仕入れました。ビクセンのAXJ赤道儀がどういう具合に仕上がってくるのか、今後が楽しみです。

そして木星をシーズン初撮影。冬場にしてはシーイングが比較的よかったのが印象的です。

3月

このあたりから天気に祟られる感じが強くなってきます。星雲・星団はおろか、惑星すら撮影できない始末。

そんな中、ZWOpticalのADC(Atmospheric Dispersion Corrector, 大気分散補正用可変ウェッジプリズム)を入手。従来の他社同等品からすると驚くべきコストパフォーマンスで、度胆をぬきました。先月発行されたSky & Telescope誌2017年1月号で「Hot Products 2017」に選出されていましたが、それも納得です。

とはいえ、使い方はなかなか難しく、今年のシーズンは十全に使いこなすに至りませんでした。来シーズンこそはきちんと使えるようになりたいものです。

4月

PHD2の日本語マニュアルを改訂しました。少しでもお役にたてば……。

そして個人的には、QHYCCDの電子極軸望遠鏡「PoleMaster」を導入。当初はSXP赤道儀用アダプタの規格自体が間違っていて、しっかり赤道儀に取り付けられないというミソが付きましたが、それでもその利便性は圧倒的。大手国内メーカーからこうした発想が出てこないのが残念に感じられたものでした。

5月

悪天候の隙間を縫ってM16を撮影しました。1月以来実に4か月ぶりの出撃。このあたりで星雲マスクや星マスクのさばき方がだいぶこなれてきた気がします。

そして、観測好機の惑星たちを撮影。特に、中接近の火星はなかなかの迫力でした。2年2か月後の大接近が楽しみです。また、木星も大赤斑の目立ついい構図で撮れて、シーズン最後を飾ってくれました。

6月

梅雨真っただ中ですが、ここで「デジカメの感度設定」について実験したのが、個人的には大きな成果。その結果を生かして撮影した「北アメリカ星雲&ペリカン星雲」で、都心で星雲を撮影する際の手掛かりを1つつかんだ気がします。

7月

今年は梅雨が長引き、撮影再開できたのは7月30日のこと。このとき撮影した網状星雲で、6月の実験成果を再確認することになりました。

8月

1998年から続いていた個人サイトを閉鎖し、天文に特化した新たな個人サイト「Starry Urban Sky」を開設しました。旧サイトの方は思い入れも色々あったものの、ここ数年完全に開店休業状態だったので思い切って。

ちなみに、昨今のキュレーションサイトがらみの騒ぎで、気になって旧サイトのコンテンツの流用を調べてみたら、幸いそうしたサイトでの盗用はなかったものの、個人のブログを含めちょこちょこ図や記事が使われていたようです。まぁ、「引用」の範疇のものも多く、悪質なのはなかったので黙認の方向で(^^;

9月

ひたすら悪天候に耐える日々で、先月に引き続き望遠鏡を出すことすらかなわず。生存確認の意味も兼ねて、ビクセンのA62SSなどについて記事を上げたくらいが活動らしい活動でした。

10月

相変わらず晴れないので、手持ちのミニボーグの地上望遠鏡化&AF化に手を出しました。素人に毛の生えた程度とはいえ、バードウォッチングも多少は嗜みますので、今後強い武器になってくれるといいのですが……。

あと、ごくわずかな晴れ間をついて天王星海王星を観測&撮影。見て面白い対象でもないので、時間のある時はかえって標的にしないものですが「久しぶりの晴れ間だけど満月」という条件で撮影できるものということで選びました。こういう時でもないとわざわざ撮影などしない対象ですが、思いのほか個別の色がハッキリ出たのが印象的でした。

11月

ここにきてようやく晴れの日が増えてきたので、カシオペヤ座の「M52&バブル星雲」、そして「プレアデス星団」を撮影。激しい光害の中では反射星雲は捉えにくく、プレアデス星団は大きなチャレンジだったのですが、周囲のメローペ星雲を含め、なんとかそれらしくまとめることができました。

また、EdgeHD800用に買ったまま眠らせていたオフアキシスガイダーを初めて実戦投入しました。当たり前ですが「ガイド鏡ガイド」とは一線を画す安定性の高さで、ガイドに使う星さえ捉えることができれば強い味方になりそうです。

12月

例年に比べて冬型がイマイチ長続きしないとはいえ、だいぶ天候はマシな傾向に。これまでの鬱憤を晴らす形で出撃回数が増えています。今日までで出撃すること3回。都心だと長時間露出が必要な関係上、1回の出撃で1〜2個しか天体を撮れないので、これだけ出撃できるのは助かります。


というわけで今年も、拙い写真とともに1年やってきましたが、みなさま、お付き合いいただきありがとうございました。来年も個人サイトともども、よろしくお願いいたします。
願わくば来年は、今年よりもう少しマトモな天候になってほしいものです(^^;