先日、彗星の移動量を計算間違いして惨敗に終わったボリソフ彗星ですが、さっそく再チャレンジしてきました。
機材は前回と同じくED103S+SDフラットナーHD。PHD2でメトカーフガイドを行い、長時間露出で彗星を狙います。今回は、移動量の計算をきちんと行い、単位の換算もバッチリです。
ところが、1コマ目を撮影した結果を確認すると、星の流れる方向がおかしいことに気づきました。左下に向かって流れなければならないところ、左上に流れています。これまたなんということはない、赤緯の移動量にマイナス符号をつけ忘れたというオチでした。なんでもそうですが、現場でパラメータを入力する場合は十分に気を付けないといけませんね。
ともあれ、天文薄明が始まる5時過ぎまでの1時間強、撮影を行いましたが……星の流れる方向こそ事前のシミュレーション通りなものの、PCの画面上では彗星の姿は全く見えず、本当に写っているのかどうか心配になります。
帰宅後、普段の星雲の処理と同様、フラット補正等を行って彗星の炙り出しを試みますが……
……んん?彗星どこ??
ぶっちゃけ、全く分かりません。そこで、ステラナビゲータでのシミュレーション結果と突き合わせてみます。
……。
…………。
………………。
……………………これか!
2019年12月8日 ED103S+SDフラットナーHD(D103mm, f811mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5, ISO100, 露出600秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるメトカーフガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理
彗星の明るさは15等台とのことでしたが、写真では同程度明るさの恒星がしっかり尾を引いて写っているのに対し、静止しているはずの彗星は非常にかすかな光のシミにすぎません。過去、この場所で17等台の系外銀河を捉えたことがあるので甘く見ていましたが、高度の低さなども相まって相当写りにくいようです。彗星はこの後、急速に南に低くなっていくので、もしこれから撮影にチャレンジしようという方がいれば、相応の覚悟が必要になってくるかと思います。
それにしても、はるかかなたの恒星界からやってきた天体を、わずか口径10cm程度の望遠鏡で(しかも東京都心から)観測できるというのは、なんとも言えないロマンを感じます。