火曜日は久々に真冬らしい快晴。平日ですが、仕事をゴニョゴニョして月没後を狙って出撃してきました。
この日の最大の狙いは恒星間彗星として注目を浴びているボリソフ彗星。12/7の近日点通過後は南に急速に高度を下げていくので、おそらくラストチャンスに近いかと。これをPHD2の彗星追尾機能を用いて捉える予定です。予想光度は15等台ですが、過去にこの場所から17等台の系外銀河を捉えたこともあるのでチャンスはあるでしょう。
ボリソフ彗星が昇ってくるまでの間、ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG+NebulaBooster NB1で、いっかくじゅう座の散光星雲「ばら星雲」を狙うことに。2015年2月、2016年12月と過去2回撮っている対象ですが、NB1フィルターの投入でどう変わるでしょうか……?
ISO100、15分露出の撮って出しだとこんな感じ。フィルターはさすがの威力で、この時点でかなりハッキリと星雲を視認できます。これならあとの処理も簡単そうです。
8コマ撮影し、これをコンポジットして処理した結果がこちら。
2019年12月4日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS NebulaBooster NB1使用
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理
NB1フィルターを用いて散光星雲を撮影した場合、えてして赤一辺倒の単調な色合いになりがちなのですが、今回の「ばら星雲」は明るい対象だけに、もう少し複雑な色が出た感じです。*1
シャープネスの向上&淡い部分を持ち上げるため、今回はRチャンネルにSilver Efex Pro 2の高ストラクチャ(強)を適用していますが、そのままだとドギツイ感じだったので、さらに元画像とブレンドしています。クリスマスツリー星団方面にまで続くガスも表現できた一方、眼に痛い感じはだいぶ軽減できたのではないかと思います。
メトカーフガイドの罠
ばら星雲の撮影が終わった後、3時ごろから鏡筒をED103Sに載せ替えてボリソフ彗星の撮影に移ります。
今回は、冒頭にも書いた通りPHD2の彗星追尾機能を用いて撮影を行います。いわゆる「メトカーフガイド」に相当する方法で、あらかじめ彗星の移動量を計算しておいた上でPHD2にその値を入力しておくと、自動的にオフセットしながらガイドしてくれるという便利機能です。ボリソフ彗星はかなり暗く、単なる恒星時追尾や、短時間露出画像を事後に重ねる「メトカーフコンポジット」だと捉えるのが難しそうという感触があったので、この方法を取っています。
ステラナビゲータで1時間当たりの彗星の移動量を確認してみると、赤経側は4.1~4.2秒、赤緯側は114~115秒であることが分かります。そこで、PHD2のボックスにそれぞれ4.15、-114.5と数字を入れ、追尾を開始します。
ガイドは順調で、撮影自体もトラブルなく。で、帰宅後ウキウキ気分でコンポジットしてみたのですが……
んん?シミュレーションと比べて星の流れる方向がおかしくないですかね……??
……はい、賢明なみなさんはもうお分かりですね(^^; 答えは単純。彗星の移動量の計算を間違っていたのですorz
間違っていたのは赤経側。ぼーっとしていたせいか、赤経側の移動量を「1時間当たり4.1~4.2秒」としてしまっていたのですが、赤経の「秒」は、秒は秒でも「秒角」ではないので、換算が必要だったのです。*2
正しく計算すると、赤経の場合、360度=21600分角=1296000秒角を24h=1440m=86400sで表すので、赤経の1秒は1296000÷86400=15秒角に相当します。つまり、PHD2のボックスには4.15×15=62.25と入れなければならなかったわけです。
……って、紛らわしいんじゃあぁぁ!
単位が違うのに呼び方が同じっていうのは、本当に混乱の元ですね。勉強代としては高くつきましたが、今後は気を付けたいと思います。