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ラブジョイ彗星(C/2014 Q2)

ISON彗星が明るくなるかと一喜一憂した挙句、文字通り蒸発してしまったのが2013年の12月。それから約1年たって、明るい彗星がやってきました。C/2014 Q2ことラブジョイ彗星です。

ちなみにISON彗星が接近してきていた2013年12月ごろにも、奇しくも同じ「ラブジョイ彗星」という名前の彗星が明るくなっていました(C/2013 R1)。こちらは2013年9月に発見された彗星で、今回のと同じくオーストラリアのアマチュア天文家テリー・ラブジョイ氏によって発見されたものです。*1


C/2014 Q2は地球に約0.47天文単位まで接近する軌道を取っていて、1月上旬にはかなり明るくなることが予想されました。実際、年末年始には4等台にまで増光。ただ、この時期は満月前後の月明かりが邪魔になり、あまり観測に向きませんでした。しかしこの週末の三連休には月の出もだいぶ遅くなり、また彗星も空高く上るので観望、撮影に絶好の機会でした。

8日金曜の夜、試しに東京都心の自宅から10×42の双眼鏡で予報位置のあたりを覗いてみると、ボヤッと光る彗星のコマを難なく捉えることができました。これはかなり明るいです。4等台前半くらいまで行っているかもしれません。


そこで翌日、機材を持ち出して撮影してみることに。ただこの彗星、地球にかなり接近することもあって見かけの移動速度が速く、単純な恒星時追尾では流れて写ってしまいます。当初は恒星時追尾&短時間露出で撮影したものをコンポジット時に彗星基準で位置合わせすればいいかと思っていたのですが、ガイドカメラの画面を見てみると…


彗星がはっきり写っています。これなら彗星核を直接追尾することができそうです。しかし、ガイドカメラが高感度(ZWO ASI120MM)とはいえ、口径25mm, F7のペンシルボーグでここまで写るとは思いませんでした…。



2015年1月10日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO1600, 露出90秒×16コマ
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1aで画像処理

そうして撮影したのが上の写真。都心での撮影にもかかわらず、青緑色が結構きれいに出てくれました。心眼で見れば、ごくうっすらとですが尾も見えている…ような気がします(^^; ダストがもう少し出ていてくれれば見栄えもするのですが、これも彗星の個性。コマ周辺のガスの色がきれいに見えるので、これはこれで悪くないものです。



最後に1枚おまけ。撮影中に飛行機が横切ってとんでもないことにw

*1:ラブジョイ氏はこれまでにC/2007 E2、C/2007 K5、C/2011 W3、C/2013 R1、C/2014 Q2の5つの彗星を発見していますが、そのうちの3つまでもが肉眼彗星となっています。11個もの彗星を発見しながらもそのほとんどが明るくならず、「真っ暗ホルツ」などと揶揄されるドナルド・マックホルツ氏などと比べると、使用機材の違いもあるのでしょうけれど強運ぶりが際立っています。