いよいよ年末が近づいてきたこともあって、今年撮った写真などを振り返っていたのですが……改めて目についたのがこれ。
先日、ほぼ一晩かけて撮影した、プレアデス星団 M45です。
この写真については、撮影鏡筒であるAskar FRA300 proの光量分布*1をどうしてもうまく補正することができず、強調を控えめにするとともに背景の階調を潰して誤魔化していました。
しかし、画像上に残っているかもしれない情報を引き出し切れていないのは、どうにも気持ちが悪い。そこで、可能な範囲で再処理してみることにしました。フラット画像をマスク的に使って光量分布を調整するなど、途中、かなり怪しげな手段も取りましたが最終的に……はい、ドンッ!
2023年11月13日 FRA300 pro(D60mm, f300mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, -20℃
Gain100, 180秒×150, IDAS LPS-D1フィルター使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.9.0n、PixInsightほかで画像処理
死んでいた階調がよみがえり*2、めでたく「分子雲的なモヤモヤ」が背景に浮き出てきてくれました。他の方々の写真を見る限り「モヤモヤ」の分布はおおよそ一致していて、間違いなくM45周辺の分子雲を写せたということで良さそうです。
この分子雲、御覧の通りM45の周りで青く輝く反射星雲とひとつながりのもので、本来M45と直接の関係はないものです。反射星雲部分は、M45の星々がたまたま近くにあって輝いているだけ。分子雲自体はおうし座~ペルセウス座付近にかけて、淡く大きく広がっています。
M45付近の分子雲は、全天のあちこちにある分子雲の中でも比較的濃くて明るい部類ですが、それでも絶対的な明るさは相当暗いもの。肉眼では3等星すら怪しい空で、よくぞ写ったものだと思います。やはり露出時間……!!露出時間はすべてを解決する……!!
……ということで、先日ブログに書いた「LEDによる光害があふれる東京都心だと、これ以上はなかなか難しそう」という文言は訂正。
撮影も画像処理も超々頑張れば、分子雲も写ります(ぉぃ
まぁ、こんな場所で分子雲狙おうなんていう酔狂なヤツは自分くらいかもしれません
ちなみに、分子雲の向こう側には系外銀河がいくつか写りこんでいます。
いずれも明るさは16等前後、地球からは数億光年もかなたの天体です。M45までの距離が高々400光年余りであるのと比べると、猛烈な遠さです。こういったいわゆる「粉銀河」を調べるのも、なにげに楽しいものです。
しかし……問題はFRA300 proの今後。決して悪い鏡筒ではないのだけど、超強調が必須の街なか撮影だとやや持て余し気味なのはたしか。光の回り方がもう少し素直ならなぁ……。
*1:画像中央を中心に、日の丸状に明るい領域が出る。 hpn.hatenablog.com
*2:「オブ・ザ・デッド」要素(^^;