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Askar FRA300 pro試写

先週木曜、うまい具合に晴れ間が出たので、月没後を狙っていつもの公園に出撃してきました。


目的はFRA300 proの試写。以前書いた通り、FRA300 proでは、おそらくレンズ間ないしレンズ~CMOS or フィルター間の反射のせいで、画像中心部が日の丸状に明るくなるという症状が発生していました。
hpn.hatenablog.com
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このパターンは過去、EF70-200mm F4L USMでも発生していて、最後部のレンズ面がほぼ平面の場合に発生する傾向があるようです。
hpn.hatenablog.com


減光の大きさにもよりますが、このパターンは補正が難しいことが多く*1、うまく補正できないとなるとせっかく買った鏡筒が無駄になってしまいます。


そこで月没後、夏の散光星雲が昇ってくるのを待って実際に撮影し、その処理の中でフラット補正がうまく働いてくれるかどうかを確認しようというわけです。


今回のターゲットは、過去に何回も撮った北アメリカ星雲&ペリカン星雲。都心から捉えやすいものの、強調しないとほとんど見えないという絶妙な淡さですし、画角的にもちょうどいい対象です。これで減光を補正できるなら、ほぼ大丈夫と考えていいでしょう。


撮影を開始したのは午前1時頃。天文薄明開始が午前3時20分ごろですから、最初の1時間をL-Ultimateで、次の1時間をLPS-D1で撮ればちょうどいいところです。


L-Ultimate1を使った場合の撮って出し&ASIFitsViewでの自動レベル調整後の画像はこんな感じ。



さすがはL-Ultimate、撮って出しの状態でも星雲の存在がハッキリ分かります。また、光害成分が少なくそもそも暗いので、減光もあまり目立ちません。


一方、LPS-D1の方はというと……



こちらは撮って出しでは星雲の存在はほとんど分からず、レベル調整後にようやく浮かび上がってくる感じです。また、レベル調整によって減光もハッキリ分かります。まさに狙い通りです。


そこで次に、フラット補正を行ってみます。いつも通りELパネルでフラットを撮ったのち、LPS-D1で撮影した画像に対してRGB分割フラット補正を行ってみると……



はい、効果は一目瞭然ですね。違いはフラット補正の有無だけで、それ以外はダーク補正、レベル調整、カブリ補正を行い、オートストレッチで色調を整えただけですが、違和感を感じない程度にまで補正ができています。これなら十分に実用になりそうです。


で、せっかく撮ったのでL-Ultimateでの画像と合わせて、こう!



2023年4月28日 FRA300 pro(D60mm, f300mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, -10℃
カラー画像:Gain100, 300秒×12, IDAS LPS-D1フィルター使用
ナローバンド画像:Gain350, 300秒×12, Optolong L-Ultimateフィルター使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.9.0mほかで画像処理

L-Ultimate、LPS-D1ともに都心から高々1時間程度の露出なので、写りとして特筆するほどのことはないのですが、とりあえずシステムとしては十分使えそうなので、そこは安心しました。

*1:なだらかに減光している場合と違い、光量の違う領域がハッキリしているので、フラットのわずかなズレが色や明るさの違うリングとして現れやすい。