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経緯台がほしい

昨年マンフロットの三脚を買って以来、これに10×42の双眼鏡やミニボーグ45ED、60EDを載せて、天体写真撮影の合間に「ちょい見」を楽しんでいます。

しかし、それなりの頻度で実際に使い始めてみると、所詮は写真用。雲台の使い勝手に不満が出てきます。現在三脚に搭載されているのは「XPRO3ウェイ雲台」。フリクションの調整が簡単にできるのが特徴で、一般的な3ウェイ雲台に比べれば使いやすい方ですが、ベアリングが入っているわけでもないのでどうしても回転の滑らかさには欠けます。ハンドルを締めて固定したときに微妙に動いてしまう、微動ができないといったところも、この手の雲台の泣き所です。


やはり「餅は餅屋」。ちゃんとした経緯台を使うべきなのでしょう*1


とはいえ、経緯台の定番ともいえるポルタIIは、今回の目的には重厚すぎます。「大は小を兼ねる」のは確かですが、これ以上荷物を大幅に増やしたくありません。カメラ三脚に取り付けられるくらいのものが理想的です。

ところが、経緯台は初心者向けの廉価品に使われることが多いせいか、マトモなものとなるとロクな選択肢がありません。あちこち探し回った結果、どうにか候補に挙がったのは以下のような品々です。

笠井トレーディング AZ-Palm

http://www.kasai-trading.jp/kasaiazpalm.html

小型のフリーストップ経緯台です。外見からすれば断然これで、カラーリングがマンフロットの三脚によく似合いそうです。価格も比較的手ごろで、コンパクトで収まりがいいのもうれしいところ。一方、難点は微動がないところで、観望時の快適性という点ではやや劣りそうです。

笠井は経緯台の品ぞろえが豊富ですが、比較的大型の「AZ-3経緯台」「コンパクト微動雲台」を除き微動を備えていないものばかり。隔靴掻痒の感が否めません。

トミーテック(ボーグ) 片持ちフォーク式赤道儀EX【31012】

http://www.tomytec.co.jp/borg/products/partsDetail/summary/118

赤道儀と名前がついていますが、実態としては経緯台そのもの。アングルプレートと組み合わせるなどしたときに赤道儀として機能する、という意味でこの名前がついています。ここに挙げたのは、底面のネジ穴が3/8インチのもの。

微動がついているのが利点ですが、アームが垂直に立つこの構造だと、天体の高度が高くなった時に(特に双眼鏡では)覗きづらそう。原理上、経緯台にとって天頂付近は特異点にあたるので、実害はあまりないのは確かですが……*2

また、鏡筒などの取り付けがボーグ独自規格のアリミゾになってしまうのも難点です。

ミザール K型経緯台

http://www.mizar.co.jp/product/view/33
http://scopetown.co.jp/SHOP/MKM02.html

当初はまったく観測範囲に入っていなかったのですが、人に言われて「ああ、そういえばそれがあったか」と気づいた経緯台です。通常の仕様では底面のネジ穴は1/4インチ*3ですが、スコープタウンでは3/8インチ仕様のものが販売されています。

マイナーチェンジが加わりながらも、今年で発売開始から35年を迎えるという、もはや歴史的名機といって差し支えない架台です。かつてはCX-150、120SL-RS20P、AR-1赤道儀など、記憶に残る数々の名機を出してきたミザールも、いまや粗悪望遠鏡を売りさばくまでに落ちぶれてしまいましたが、この経緯台と、これに口径70mm、F10のアクロマート屈折を載せたMT-70Rは最後に残った良心と言ってよいでしょう。

昔ながらのクランプ操作が必要なタイプで、設計的に古さは否めませんが、機能的には過不足なし。全周微動も備えています。

欠点は、仰角が上がるほど重心が中心から外れ、バランスが崩れる点。ただ、それほど重いものを載せる予定はないので、なんとかなる範囲かと思います。あとは見た目がいかにも古臭く、マンフロットの三脚に似合わなさそうという点でしょうか(^^;


実用性から言えばK型経緯台が一番良さそうですが、AZ-Palmのデザインやベアリング内蔵ということから予想される粗動の滑らかさにも惹かれます。後者は鳥見等には便利そう。ブログのネタとしては、両方買って比較記事でも書くのがおいしいのでしょうけど……悩みます( ̄w ̄;ゞ

*1:マンフロットの場合、微動が可能という点で「ギア付ジュニア雲台」という選択肢も考えられますが、天体用として使うには微動が少々粗すぎるようです。粗動がやりづらいのも問題。

*2:回避するなら、それこそアングルプレートなどを使ってアームを傾斜させるのが手っ取り早いでしょう

*3:もともとのネジ穴は3/8インチで、ここに変換ネジを埋め込んで1/4インチ仕様として販売しているようです。