PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

北アメリカ&ペリカン試し撮り

というわけで、上弦の月が夜空を照らす中、いつもの公園へ出撃。

ちなみに上の写真、昼間ではないです。手持ちでこのくらい明るく撮れてしまう程度には月明かり&光害がひどいということ。我ながら、よくもまぁこんな劣悪な環境で天体写真撮ろうなんて酔狂なことをやるもんだと……(^^;


SC64フィルターを装着していると、ライブビューでは星を確認しづらいのではないか……と思っていましたが、1等星クラスなら特に問題はなさそうです。アライメント、ピントの調整ともに特に問題はありませんでした。とはいえ、光量が相当減るのは確かで、ざっくり言ってノーフィルターの時の3〜4倍は露出が必要そうな感じです。

「なんちゃってHα撮影」の効果は、撮影している最中にすでに現れました。今回狙ったのは北アメリカ星雲〜ペリカン星雲にかけての領域なのですが、都心かつ月明かりのある状態にもかかわらず、撮影直後の未処理の状態で、うっすらとですが星雲が見えています*1。これは期待ができそうです。

上空は雲が多めで、時折撮影中断を余儀なくされますが、流れる雲の隙間を縫ってなんとか撮影継続。しかし、1枚当たりの露出時間が長めなので、途中で雲が入ってきたりしてボツを量産する羽目になりました。結局、まともな8枚を撮影し終えた時点で雲が全天に広がってきたので撤収です。


帰宅後、得られた8枚からダークを引き、現像してRチャンネルのみ抜き出してコンポジット。各種処理を加えた結果がこちら。



2015年9月20日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, SC64フィルター使用, ISO1600, 露出240秒×8コマ
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1cで画像処理

月明かりと激しい光害の中、東京都心でこれだけ写るというのはまさに驚きです。星雲を浮き出させるためにかなり強烈な処理を行っていますが、モノクロ画像のため処理が簡単なのも特筆すべき点。カラーバランスを気にしなくていいのがこれほど楽だとは思いませんでした。

ただ一方で、実寸大の画像を見ると星像が歪になっていて、フィルターの平面性がやはり問題になっていそうな雰囲気です。また、いくら「月明かりや光害に強い」といっても影響を受けるのは確かで、今回の場合は露出をこれ以上延ばすとRチャンネルが飽和してしまいました。条件のいい日に撮影した場合、どこまで行けるのか楽しみです。

*1:この写真では、南北が180度回転した状態で写っています。画面右上に北アメリカ星雲の「メキシコ」に相当する部分、中央左にペリカン星雲の最も濃い部分が確認できます。