今年もあっという間に大晦日。皆様、今年1年、お付き合いいただきありがとうございました。
今年はようやく母の介護のペースもつかめて、ほぼ毎月撮影に行くことができました。2月に購入したNebukaBooster NB1フィルターの効果も絶大で、惑星状星雲や散光星雲、超新星残骸に対して期待通りの性能を発揮してくれました。
光害の激しい都心でも一定水準以上の写真をモノにできて、それなりに満足しているのですが、一方で2017年後半くらいから感じ始めたKissX5改造機の限界がいよいよ見えてきた感じがします。一見きれいに撮れてはいるのですが、相当無理をさせているのは確か。散光星雲の淡いところなど、ノイズを抑え込むために相当無茶な処理をしていますし、その結果出てきてしまうアーティファクトに悩まされるという状況が続いていました。カメラ自体、製品としては8年以上も前の機種ですし、やはり後継機を考えるべき時期に来ているようです。
後継機としてまず真っ先に思い浮かぶのは、EOS RまたはEOS RPの改造機です。同じキヤノンなので、マウントや制御ソフトの更新がいらないのが魅力。ミラーレスなのでミラーによるケラレの心配もありません。
しかし、35mm判フルサイズともなると光学系への要求性能が高くなります。例えば、手持ちの機器で言えばBORGのレデューサー0.85×DGはイメージサークルが小さくてケラレますし、EdgeHDもイメージサークル径がφ42mmなのでかなり厳しいです。まぁ、このあたりはクロップ撮影でクリアできるのですが……。
ミラーレス機なのにF5以下になるとボックスケラレが出る*1という話もあります。今ではこれに対応した改造(SEO-SP4II改造)もメニューにありますが、割高です。
また、キヤノンの撮像素子はKissX6i以降、「ハイブリッドCMOS」や「デュアルピクセルCMOS」など、動画撮影や合焦速度を重視したチューンを行っていますが、その分、静止画の画質が一歩劣る感じがあるのも嫌なところです。さらに、デジカメの画像処理エンジンがどんな処理を行っているのか不明なのは同じで、星雲のようなごく低照度の対象に向いているとはいいがたい部分があります。*2
そこで次に……というか、だいぶ前から妄想していたのが、APS-Hサイズの「KAF16200」を搭載した冷却CCDカメラ……具体的にはQHY16200Aなどです。冷却カメラの類は、電源の問題もあって以前は検討の俎上に上ることすらなかったのですが、最近では大容量のリチウム系バッテリーも登場してきていて、現実的な選択肢になってきました。
KAF16200の場合、センサーサイズが控えめな分、35mm判フルサイズのものに比べて比較的安価ですし、モノクロなので柔軟なフィルターワークが可能……となかなか魅力的だったのですが、そこに降ってわいたのが、みなさんご存知、ON SemiconductorのCCD生産終了の報。大幅な品薄&価格高騰は避けられない情勢になってしまいました。
また、このタイミングで冷却CCDを買ったとしても「最新の旧型機種」となるのは明らかで、たとえポテンシャルが高かったとしても、あまりいい気はしません。さらに言えば、比較的安価とは言ってもフィルター等までそろえれば一式で60万円は軽く超えそうですし、そもそもフィルターを交換しながら撮影するというのは、長時間露出が必要な都心での撮影ではあまりにも時間がかかりすぎてちょっとしたハンディです。
と、そんなこんなで悶々としていたのですが、年末近くになって、ZWOから新機種が発表になりました。ASI6200MC Pro、同MM Pro、ASI2600MC Pro、ASI533MC Proなどです。これらはいずれもソニー製の裏面照射型CMOSを採用していて、フルウェルキャパシティやリードノイズについてはKAF16200をしのぐ性能を持っています。
中でもASI2600MC Proは貴重なAPS-Cサイズで、デジカメの置き換えにはもってこい。カラーモデルしかないのが難といえば難ですが、上で書いたように都心でのモノクロカメラの運用には厄介さが付きまとうため、ここは甘受してもよいでしょう。価格は20万円台で、これとて決して安くはありませんが、EOS RにSEO-SP4II改造を施すとさらに高額になるので、それを考えれば許容範囲内です。
あ、大晦日までに注文すると2インチDuo-Bandフィルターをもらえるのか……
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