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夜空のひまわり

待望の週末&新月期ですが、東京は基本的に晴れベースであるものの、やや雲が多めの予報。そこで機先を制して金曜の深夜、いつもの公園に出撃しました。GPVの予想では、午前4時ごろには雲が広がってきそうだったので、それまでの4時間ほどが勝負です。

この日用意したのはEdgeHD800。この夜は比較的大気の透明度が高く、地上の風も穏やかだったので、春の銀河を狙うにはおあつらえ向きです。ただ、シーイングに関しては冬らしく乱れていて、高解像度を狙うのは無理そうな感じでした。

公園に到着したのは23時過ぎ。ここからセッティングして、0時過ぎくらいからは撮影が行えると踏んでいたのですが……鏡筒の温度順応や光軸調整に手間取ったり、オフアキの視野内に星が見えずピントの再確認を強いられたりと小さなトラブル続きで、結局撮影開始できたのは1時近くになってからでした。


この日の狙いは、りょうけん座の「ひまわり銀河」ことM63。そして、その後時間が取れればおとめ座の「ソンブレロ星雲」ことM104。M63は腕の構造が特徴的なので、できればシーイングのいい日に狙いたいところなのですが、一方で、淡い腕の部分を写し取るには光害の少ない深夜に昇る今の時期を狙わざるをえず、悩ましい判断でした。

M104の方は明るいので、短時間で撮影できるだろうと踏んでの選択です。随分前に一度撮ってはいるのですが、当時は長焦点鏡を持っていなかったので、今回クローズアップで捉えられればと。


M63を撮り終わったのは3時過ぎ。すかさずM104に鏡筒を向けて撮影……というところだったのですが、構図を確認しているうちに、GPVの予報通り雲が広がってきました。しばらく様子を見ていたのですが、好転の気配がなく、結局M104を撮ることなくお開きとなりました。


M63の方ですが、未処理の「撮って出し」だとこんな感じ。



明るい核はもちろん、中心部に近い腕も見て取れます。以前撮ったM33よりもはるかにマシな写りで、期待が持てます。で、これを処理して出てきた結果がこちら。



2017年1月28日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

1コマあたりの露出時間が15分と長めの一方、シーイングがかなり悪かったので腕の微細構造は多少潰れてしまいましたが、それでも暗黒帯が入り混じる特徴的な姿はある程度捉えられたかと思います。

撮ってみると案外明るく撮りやすい銀河で、これなら市街地でも十分狙えるでしょう。こいつの場合、一番の敵はやはりシーイング。移動性高気圧に広く覆われたときに、南中前後を狙って撮るのがベストでしょう。