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上げたのは4日後

11月3日の文化の日に引き続き、5日の夜も晴れたので公園に出撃しました。

翌日が日曜なので、時間もたっぷりとれる……ということで、都心では難易度高めの淡い対象を狙うつもりで機材を準備。ところが、この日は快晴だったものの湿度が高めで、透明度は3日夜より明らかに劣ります。淡い天体を狙うには不向きな天候です。空気もベタッと冷たくて想像以上に不快*1

こんな調子だったのでテンションもダダ下がりで「予定を変更 or 中止」という選択肢もよぎったのですが、この機を逃すと次がいつになるか分からないので、結局強行することにしました。


狙いは「アンドロメダ大星雲」ことM31と「プレアデス星団」M45。どこが淡いんだと突っ込まれそうですが、M31の方はできるだけ腕の方まで写したいですし、M45は星団の周囲に広がる淡い反射星雲を捉えたいところです。

M31の方はまだ処理に取り掛かっていませんが、M45の方はひとまず形になったのでこちらと本家ウェブサイトの方に。



2016年11月6日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5, ISO200, 露出480秒×15コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

プレアデス星団」や「すばる」の名前で知られるM45は、年齢約6000万〜1億年の若い星からなる散開星団です。明るいので、都心でも肉眼で容易に存在が分かる数少ない星雲・星団の1つです。もっとも、1つ1つの星を見てみると、一番明るいアルキオーネでも2.87等。あとは3.5等以下の星しかなく、意外と暗いことに驚かされます。それでも明るく見えるのは、これらの星が狭い範囲内に集中しているためです。

写真を見ると、星の周りに青白いガスが淡く広がっているのが分かります。これは、M45とは直接関係のない星間ガスが、星団の星々の光を反射して輝いているものです。


上で書いたようにこの日は空の透明度が悪く、これの撮影は夜半過ぎからの開始だったものの、光害の影響もかなり大きく出ていました。光害には青〜緑色の成分がかなり多く、そのような中で青く淡いガスを浮かび上がらせるのはなかなか大変でしたが、感度設定をISO200まで下げて露出時間を稼いだかいあってか、どうにかあぶりだすことができました。それでも明らかに露出不足を感じましたので、できればもう少し条件のいい日に、露出ももっとかけて撮りたいところです。

一見、周辺減光が補正しきれていないように見えますが、これはおそらく星団周辺のごく淡いガスのせいで中央が明るくなっているだけだと思います(^^;

ちなみに、今回は天文改造カメラではなく、先日中古で入手した未改造のKissX5を用いて撮影しています。赤い光の透過性の高さが災いして、天文改造カメラだと「赤ハロ」が目立ちやすいのですが、一般品だとIRカットフィルターが長波長側をカットしてくれるため、多少マシになる感じです。M45は青色が印象的な天体。赤い色が目立ったのでは興ざめですからね。

*1:実際、あとで気象庁のデータを見たら、夜半頃の湿度が90%近くあったようです。