PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

最遠の惑星たち

この日は夜も久しぶりに快晴だったので、実に約2か月ぶりに望遠鏡を引っ張り出しました。とはいえ満月なので、星雲・星団の撮影にはまったく向きません。

そこで、逆にこんな時でないと観望、撮影しないであろう対象に望遠鏡を向けました。



2016年10月15日21時26分54秒(日本時間)
セレストロンEdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm) SXP赤道儀
ZWO ASI120MC, 1s, 600フレームをスタック

まずは、冥王星準惑星降格に伴って太陽系最遠の惑星となった海王星です。明るさは約7.8等。望遠鏡の視野に捉えると、明らかに他の星とは違った青緑色が目につきます。

地球からの距離は約29天文単位(約43億km)と、土星の3倍ほども遠くにあります。高々口径20cm程度の望遠鏡では表面の模様など望むべくもないのですが、これほど遠くの天体が円盤像として捉えられるということ自体に感慨を覚えてしまいます。



2016年10月15日23時32分16秒(日本時間)
セレストロンEdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm) SXP赤道儀
ZWO ASI120MC, 200ms, 1600フレームをスタック

そして、海王星の1つ内側にある天王星。ちょうど16日1時38分が衝で、一般的には観望好機といえるのですが、海王星ともども距離が非常に離れているため、年間を通じて視直径や明るさに大きな変化はなく、特に衝にこだわる必要はなかったりします。明るさは約5.7等。望遠鏡の視野に捉えると、やや緑がかった灰色に見えます。

地球からの距離は約19天文単位(約28億km)。海王星に比べると近いですが、それでも土星までの2倍の距離があります。こちらも模様を捉えるのはまず無理ですが、大口径の望遠鏡を用いて好気流条件下で撮影すると、模様を確認することも不可能ではないようです*1


ところで、こうやって天王星海王星を並べてみると、同じ「青緑色」と形容されがちな両惑星の色の違いが意外とよくわかります。


実際、惑星探査機ボイジャー2号からの画像(上:天王星 下:海王星)と比較してみると、ちゃんとそれぞれの色を反映しているようです。こんな小さな望遠鏡で、数十億kmの彼方の物体の色が正しく分かるというのは、考えてみるとなかなかすごいことだと思います。

*1:もっとも、日本国内では気流の条件が悪すぎるので、機材をそろえても難しそう。月惑星研究会への観測報告を見ても、海外の観測者によるものばかりです。