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青い雪玉星雲

せっかくオフアキを持ち出したのだし、月明かりの中でも撮れる対象を……ということで、小さい惑星状星雲をターゲットに。



2016年11月12日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO400, 露出30秒×32コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

宵にほぼ天頂付近にまで昇る、「青い雪玉星雲」ことNGC7662です。カタログ上の明るさは9等前後ですが、単位面積当たりの明るさが明るいので、月明かりや光害にも負けずよく写ります。

視直径は木星よりやや小さいくらいと、非常に小さな天体ですが、中央の星をリング状の構造が取り囲み、さらにそれを繭状の構造が取り囲んでいるという複雑な構造が見て取れます。「青い」という形容詞に引きずられがちですが、リング中には赤っぽい部分も見え、ガスの成分や励起状態に差があるであろうことをうかがわせます。

惑星撮影用の動画カメラを使えばさらに詳細を浮かび上がらせることができそうですが、それは今後の課題ということにしておきましょう。


ちなみにどのくらい小さいかというと、ノートリミングでこの状態。



やはり最低でも、ここで使った焦点距離2000mmクラスの望遠鏡は欲しいところです。


ところでこの星雲の愛称ですが、しばしば「青い雪だるま星雲」という表記を見かけます。しかし、元になっている英語での愛称が「Blue snowball nebula」なので、「青い雪玉星雲」が正解です。おそらく、語呂や「雪だるま」という言葉のなじみ具合から広まってしまったものだと思いますが、公的な天文台でも使ってしまっているところがあったりして、なんとも困ったものです。