前回の「実使用編」で例示した追尾状況の時に、理論上どんな星像になるのか、以前紹介した方法でシミュレートしてみました。シミュレートする上で必要な、現在の撮影システム関連の値は以下の通り。
- オートガイダー(Lodestar)の撮像素子の画素サイズ:8.2μm×8.4μm → 約8.3μm四方
- ガイド鏡の焦点距離:540mm
- 撮影鏡(ED103S)の焦点距離:795mm
- 撮影用カメラ(EOS KissX5)の画素サイズ:約4.2μm四方
- エアリーディスクの直径(λ=590nm):約11μm
4.2μm四方という画素サイズに対してエアリーディスクの直径が11μmにもなりますから、うまく収まって3×3ピクセル(画素の中心に星像がきた場合)、撮像素子上の星の位置によっては4×4ピクセル(画素の境目に星像がきた場合)が表現に必要になる計算です。
図にはエアリーディスクの大きさを○の形でプロットし、撮像素子の画素に相当する4.2μm四方の方眼を引いてあります。横軸が赤経方向、縦軸が赤緯方向のズレ量です。
今回の場合、特別うまくいったケースを抜き出しているのでそこそこ優秀ですが、おおよそ5×5ピクセルの範囲に星像が広がっています。しかも、ズレ方に偏りがあるのか、星像が斜めに伸びてしまっています。
一見して、星像が原点に集中しているのが分かります。SXDのように星像がゆがむこともなく、しかも像の大きさはほぼ理想通り、4×4ピクセルの範囲内に収まっていて、文句のつけようがありません。
実際には、レンズの収差やシーイングの影響があるのでこう理屈通りにはいきませんが、少なくとも現段階の私のシステムにおいて、SXP赤道儀は十二分に満足のいくポテンシャルを持っていると判断してよいでしょう。