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機材交換


火曜日の夜、家に帰るとビクセンの大きな段ボールが届いていました。



ついカッとなってやった。反省はしていない(キリッ 」というわけで、SXD赤道儀を下取りに出して、SXP赤道儀に買い替えました。つい先日、SXD赤道儀についての記事を書いたばかりなのにアレですが…。


SXD赤道儀の下取り保証額10万円のところ、丁寧に使っていて状態が良かった分、少し色がついて10万4000円。これとSXP赤道儀の販売額338000円との差額、23万4000円がかかった費用になります。

なぜ、そうまでして機材を交換しようと考えたかですが、やはりSXD赤道儀に色々と問題があったからです。

・取り扱いの厄介さ

機材搭載時のバランスのとりづらさや、撮影のたびにアライメントデータのクリアが事実上必要になる仕様など、スムーズな撮影を妨げる要素が少なくありません。先日の記事のように、工夫と運用でカバーできる範囲ではありますが、貴重な観測時間は少しでも節約したいところです。

・DCモーターのレスポンス

理解した上で使っていましたが、やはりDCモーターのレスポンスの悪さと非力さには悩まされました。同じようにDCモーターを用いているセレストロンあたりの赤道儀ではそうした話をあまり聞かないので、モーターの種類や制御プログラムの作り込みの問題もあるのだと思いますが、動き出し/停止時の反応が鈍いため、オートガイドにおいてエラーの収束に時間がかかります。特に、上記のバランスのとりづらさと相まって、ガイドが暴れて収拾がつかなくなることも少なくありません。ひどい時には「勝率」が50%以下になることも…。

・鏡筒の取り付け方法

SXDではビクセン規格のアリミゾが標準装備となっています。アリミゾとしては事実上の世界標準ですし便利には違いないのですが、今後長焦点の望遠鏡を載せようと考えた場合、ネジ1本での固定というのは強度的にいささか不安なのも事実。同じアリミゾでも、K-ASTECコスモ工房あたりの強力なアリミゾを利用したいところです。


…と、ざっと挙げるとこんなところ。加えて、来年には消費税が上がるであろうことを考えると、早めに手を打っておきたいというのもありました。そして、特に今回意識の中にあったのは「効率」です。


私事ですが、実は今まで観測・撮影に使用していた自宅前の駐車場の土地が売却され、使用不能になってしまったのです。今までは自宅前で思う存分試行錯誤ができましたが、今後は少し足を伸ばさなければなりません。わざわざ出かけていくのですから、時間を無駄にしたくはありません。

それでも、文字通りの素寒貧なら気合と根性で乗り越えるところですが、幸い、ある程度自由になるお金がある身分。無駄になる時間を考えれば、機材の交換でこれらの問題が解決できるのであれば安いものです。

SXPかSXD2か

SXDからの乗り換えを考えた場合、候補になるのは普通SXPかSXD2です。両者のスペックはかなり近いので、悩ましいところ。以前にもちょっとまとめましたが、以下にビクセンのラインナップで最上位のAXD赤道儀、エントリー機のSXW赤道儀を含めた比較表を掲載します。

これを見ると「SXP=AXDのダウンサイジング版」「SXD2=SXDのパルスモーター版」という位置づけがハッキリ見えます*1。SXPとSXD2の違いは赤緯軸の強度、使用ベアリング数、PEC(ピリオディックエラー補正)機能、ウェイト軸の長さと搭載可能重量、鏡筒取付方法といったあたり。価格差は6万円ほどありますから、これをどう考えるかです。

機械的な強度の部分に関しては、SXDとSXD2でほとんど差はありませんから、SXDで満足していたのであれば、SXD2で十分かもしれません。

PEC機能については、SXD2では電源を切るとPECのデータが消えてしまうため、都度設定が必要という面倒があります。ただ、オートガイドでの撮影を前提とした場合、PEC機能はOFFにすることが推奨されていますから*2、決定的な差にはなりません。


ただ、SXDとSXD2はスペックがあまりに近いため、SXDからの買い替え対象としてはいささか魅力に乏しいのは確かです。実質、パルスモーター代だけで20万円近くかかるようなものですから、面白くありません。鏡筒取り付け方法の自由度がないのも、場合によっては問題でしょう。

私の場合、将来的にカセグレン系の長焦点望遠鏡も導入したいと考えていることもあり、今回はSXPを選びました。えっ?AXD?いやいや、それはさすがに…(^^;

*1:こうしてみると、SXD2は上位機種譲りの部分と下位機種から継承している部分が混ざり合っていて、SXDほど致命的ではないものの、やや中途半端な印象です。

*2:おそらくPECの指令とオートガイダーからの指令がバッティングするのだと思います。