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放射性物質はどのように拡散するのか――情報開示に消極的な気象庁

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1104/12/news010.html
個人的には、情報があるなら出して欲しいとは思うのだけど、一方で、データの見方や解釈方法に誤解を抱えたまま、データだけが一人歩きして騒ぎを巻き起こすだろうなというのも容易に想像できるところ*1。特に、今回の震災および原発関連の報道で、データを正しく解釈し伝達する能力がマスコミには決定的に不足しているということが露呈した今、「なんでもかんでも情報公開すべき」という主張には素直に頷くことができないんですよね。実際、記事で取り上げられているドイツの予報に関しては、読売がシミュレーションの前提条件や図の見方を省いた形で報道して、すでに一部で騒ぎを巻き起こしたのは記憶に新しいところ。
ただ、情報公開の進展と情報を理解する能力の発達は「卵と鶏」の関係なので、長期的な目で見れば、情報公開は積極的に進めていくべきだろうとは思います。国外からいびつな形で情報が入ってくるほうがかえって害が大きそうです。
ところでどうでもいいけど、記事の中の記述、「シュミレーション」になってますね。日本人がよくやりがちな間違いではあるけれど、こういうことやると、たとえいいことを言っていたとしても筆者への信頼度がガタ落ちになるので要注意です。

*1:しかも、記事で取り上げている放射性物質の拡散シミュレーションに関しては、飛散するおおよその方向は分かっても、初期条件の不確かさのために定量的には誤差が極めて大きく、住民などが見ても、直接の役にはほとんど立ちません。それよりは、実際に現状を反映しているモニタリングポストの実測値の方がよっぽど重要です。