Twitterの方ではすでに取り上げましたが、先月末、2020年のSky-Watcherのカタログ画像が海外の掲示板でリークされていました。
新製品として注目されていたのは以下の4つです。
- STRAQUEST & AZ-EQ AVANT用モータードライブ
- Evostar 72ED用回転装置
- CQ350 PRO赤道儀
- Synscan Starwand
まず最初のは、SKy-Watcherが海外で販売している初心者用赤道儀STARQUEST/AZ-EQ AVANT用の外付けモータードライブです。そもそもの赤道儀の価格帯が価格帯*1なので、機能としては必要最低限だと思いますが、それでも追尾できるのとできないのとでは大違い。赤道儀自体の国内販売がないので、この製品も国内販売はないはずですが、こうしたエントリーレベルの製品にも手を抜かないあたり、好感が持てます。
絵を見ると、黒い可動式液晶っぽいのが見えますが……ひょっとしてステータス画面くらい出たりするのでしょうか……?*2
2つ目はフォトビジュアル望遠鏡Evostar 72EDの接眼部とレデューサーとの間に取り付ける回転装置。構図の回転自体は、回転装置がなくても鏡筒自体を回転させれば済む話ですが、手元で精度良く回転できるなら便利なのは確か。こちらは鏡筒やレデューサーの国内販売があったはずなので、おそらく国内でも登場することになるのではないでしょうか?
そして今回のリークの目玉がこれ。CQ350 PRO赤道儀です。
一目瞭然、iOptronのCEM60をパクったバリバリに意識したセンターバランス型赤道儀*3です。このタイプは構造上子午線越えがほぼ不可能ですが、一方で強度は出しやすく、CQ350 PROも搭載可能重量は35kgに達します。CEM60の搭載可能重量が27.2kgですから、カタログスペック上では上回ります。*4
外観を見る限り、鏡筒を載せるサドルプレートは、おそらくロスマンディー規格、ビクセン規格の両対応でしょう。駆動はベルトドライブとのこと。
外部端子はSynScanコントローラ接続端子にオートガイダー接続端子、USB-B 3.0×1、USB-B 2.0×1、USB 3.0×4などが揃っていて、かなり充実しています。後発の強みで、CEM60と比較するとUSBが高速化されているので、太い上に短くて扱いが厄介なUSB3.0の配線をすっきり整理することができそうです。なお、AUX端子が3対ありますが、これらはどのように使用するのか現時点では不明です。互いに繋いで内部通信に使うのでしょうか……?
積載能力的にはEQ8 GOTO(50kg)とEQ6R(20kg)との間に位置しているので、価格としては両者の中間よりややEQ8寄り、税抜35~40万円前後と見ますがどうでしょうか?CEM60が税抜32万円程度なので、そこそこ対抗できそうな気がします。もっとも、もし万が一これで高精度エンコーダが付いててフィードバック制御をやったりするようだと、CEM60-EC(税抜約50万円)相当ということになり、iOptronの立つ瀬はすっかりなくなってしまうのですが……。*5
見た目の感じでは工作精度も高そうで、実際の性能がどの程度のものか楽しみです。現在は開発中のようなので、仕様変更はまだありそうですが、来年のCP+あたりに出展されると大きな話題になりそうです。
最後のSynscan Starwandはちょっとユニークなデバイスで、空を指し示すレーザーポインターと望遠鏡の無線コントローラを合体させたようなデバイスです。ポインターで空の1点を示すと、Starwandに接続された望遠鏡がその点に向かって動くというもの。やってること自体はGPSと方位センサー、ジャイロセンサーがあればできることですが、柔軟かつ斬新な発想が実に素晴らしいです。
複数台を制御可能ということなので、観望会などでの教育目的が主でしょうか。場がかなり盛り上がりそうです(^^)
ちなみに、このデバイスについてはハンガリーのBudapest Telescope Centreで取り扱いがあるのを見つけました。
価格は27%の付加価値税込みで120.63ユーロとのことなので、税抜だと約88ユーロ、日本円でおおよそ11000円くらいでしょうか。意外と安価です。まぁ、中身を考えれば汎用品ばかりですし、当然の値付けかもしれません。
とはいえ、日本へ出荷可能かどうかは別の話。レーザーの出力が1mWあるので、この時点で既に消費生活用製品安全法の規制に引っかかり、国内への輸入販売は不可能です。よしんば仕様を変更してレーザー出力を弱めたとしても、別途第三者機関による審査が必要になるので、おそらく日本国内での展開は残念ながら不可能でしょう。