PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

PoleMaster(SXP/AXD用)簡易レビュー

先月、天文ハウスTOMITAで予約注文しておいた、SXP赤道儀用のPoleMasterがようやく届きましたので、ちょっとしたレビューを。もうすでに使用されている方も多く、いまさら感がありますが……(^^;

ところでTOMITAでは先週末から、福岡店開店5周年記念セールをやっているのですが、うれしいことに今回はそのセール価格が適用されて、定価40500円のところ、34500円で購入できました。正規代理店経由であることを考えれば、なかなかのバーゲン価格です。

PoleMaster本体は、QHYCCDの製品ではおなじみの缶ケースに入っています。内容物はPoleMaster本体と専用ケーブル、アダプタ固定用のネジ、レンズキャップに取り付けるストラップといったところ。一方、アダプタの方は別梱包で、こちらはアダプタを構成する2つのパーツと、アダプタを赤道儀につけっぱなしにする場合に極軸にはめるキャップからなります。


写真は左から、アダプタの赤道儀側台座、カメラの方に取り付けるアダプタ部品、そしてカメラ本体となります。どうやってカメラを固定するのか不思議だったのですが、まずは真ん中のパーツをカメラ裏側に付属のネジでネジ止めし、一方のアダプタの台座を赤道儀側にねじ込み、その側面のネジでカメラを固定する、という構造でした。


カメラのレンズ自体は3MP対応の25mm CCTVレンズ。とりたてて立派なものではありませんが、北極星野さえ写ればいいのでこれで十分です。一方、レンズキャップはねじ込み式の金属製のものですが、正直外すのが面倒なので、これこそ簡単なプラスチックのかぶせ式ので十分な気がします。

本体には、レンズ側から見て点対称に3つのネジがあります。いかにもスケアリング調節用と思わせる見掛けですが、実際には単に本体ケースを組み付けているネジに過ぎません。本当に簡素な構造です。しかし、ソフトウェアで赤道儀の回転軸を出すという仕組みを考えれば、これで十分なのは確か。以前にも書きましたが、こういう割り切りは日本のメーカーが最も苦手とするところです。


比較的よくできている本体に対し、やや不満を覚えるのは付属のケーブル。留めネジがついているので何か特殊なケーブルに見えますが、実態はミニUSBケーブルと思われます。2mほどのこのケーブルですがが、太くて少々固いのです。その分頑丈と思いたいところですが、それほど良質なケーブルにも見えませんので断線しないことを祈るのみです。


ちなみに赤道儀本体側にねじ込むアダプタ台座ですが、カメラ本体を固定するためのネジ3本のうち2本はイモネジになっています。基本的にこれらは回さず、残る1本の手回しネジで固定しろということのようですが、輸送時の振動などでイモネジが緩んでしまえば、細いマイナスドライバがない限り締めることができず、カメラの固定に支障をきたします。

そこで、これらのイモネジをローレットボルトに交換しました。幸い、米国製の製品と違って、ありふれたM3のネジでしたので交換は簡単。これでだいぶ使いやすくなったのではないかと思います。


そして、夜になるのを待って、早速実戦投入してみました。本当はEdgeHD800で銀河のクローズアップを狙い、そこでPoleMasterの真価を確認する予定だったのですが、なにしろ注意報が出るレベルの強風が吹き荒れているさなか。まずは使い方の習得を第一目標にします。


SXP赤道儀に取り付けるとこんな感じ。このとき、撮像素子の辺を地平線とおよそ一致させるために、コネクタが向かって左側、水平になるよう取り付ける必要があります。


実際の操作手順については、あちこちに記事が出ていますし、とりあえずここでは割愛します。ソフトウェアはウィザード形式で進んでいくので、使い方自体はそれほど難しくありません。また、都心ということで北極星以外の基準星が見えるかどうかがちょっと心配だったのですが、全くの杞憂でした。

ソフトの操作はタッチパッドとカーソルキーで十分こなせます。ただ、ちょっと不満があるとすれば星の指定の仕方で、拡大表示を見ながら自力で星像の中心部を直接クリックする必要があります。PHD2のように、だいたい目的の星のあたりをクリックしたら自動的に星を検出するような形になると、随分使いやすくなるように思います。

【2016.5.3 訂正】
QHYのサイトにある説明書のFAQに解説がありましたが、星の位置の指定は「おおよそ」でいいとのこと。クリックした位置そのものではなく、クリック位置にある星像の重心を計算して「星の位置」としているようです。要はPHD2などと同じ方式と考えてよさそうです。


極軸の設置精度については、今日のところは風が強くてガイドグラフが当てにならないのでノーコメントで。ただ、修正の動きを見ているとかなり素直な感じだったので、ひととおりの精度は出ているのだろうと思います。