さて、ガラッと話変わって天文機材関連の話です。
昨日も書きましたが、今年のCP+のビクセンブースにおける最大の目玉は、参考出品の「AXJ赤道儀」でしょう。現時点ではまだまだ仕様が固まっておらず、今後全く異なる姿、仕様になることも大いに考えられますが、現時点までに得られた情報を整理し、完成した姿について少し夢想してみます。
外観
AXJ赤道儀の「J」は「ジュニア」の「J」だそうで、製品のグレードとしてはAXD赤道儀とSXP赤道儀との間、ということになるようです。昨年の「SXP-Concept」の時点でも「AXDとSXPの間」という話は出ていましたが、名前に「AX」の文字が冠されたことで、AXD寄りであることがより明確になりました。
少なくとも今年の試作機は、赤緯ユニットの外装がAXDの金型から作られていて、明らかにAXDと同系列ということが分かります。三脚もAXD用と類似のものがおごられていますし、極軸の方位設定の機構もAXDと同じです。
一方、極軸体の方はAXDとは別設計です。また、極軸を支える「首」の部分は、最近の海外製の赤道儀でよく見られる、両側からフォークで挟み込むような構造になっています。ただ、この部分については、現時点ではまだ「試作なので実験してみた」というレベルのようで、今後どうなるかはまったく未定とのこと。実際、昨年のSXP-Conceptの極軸体が見た目ニューアトラクスっぽかったのに対し、今年はすっかり別物になっており、まだかなり流動的なようです。
素人考えだと、AXD赤道儀と同じ金型を使った方がコスト的には有利になりそうなものですが、もしかするとエンコーダ搭載を考えた時に、構造上余裕がないなどの事情があるのかもしれません。
性能
搭載可能重量は20〜25kgくらいを想定しているとのことで、搭載可能重量30kgのAXD、16kgのSXPの間に位置します。
担当者いわく「機械的な部分に関してはニューアトラクスより上」とのこと。ニューアトラクスの搭載可能重量が22kgでしたから、25kgくらいは期待したいところです。機械的精度についても、おそらくAXDの方に近いものになるでしょう。
ただ、どこかでコストダウンも必要なので、シャフトの材質のダウングレード*1くらいはあるかもしれません。
追尾精度については、昨年の段階で「エンコーダ使用時にピリオディックモーション1.5秒以下」とされているので、少なくともこの程度は達成されると見ていいでしょう。
価格
さて、問題は気になる価格です。
SXP赤道儀が約40万円、AXD赤道儀が約100万円ですから、文字通り中間を取ると70万円前後。ややAXD寄りと見ると80万円程度でしょうか。
しかし問題はエンコーダの価格です。参考までに、同じようにエンコーダを利用するiOptronのCEM60赤道儀では、エンコーダなしのCEM60が318000円、エンコーダつきのCEM60-ECが495000円となっています。軸1つあたり約10万円の計算です。
これをそのまま適用すると、もし素のAXJ赤道儀が80万円だとすると、エンコーダがついた時点でAXDと価格差がなくなってしまいます。さすがにこれは受け入れられないでしょう。
こうしたことから考えると、素の状態で50〜60万円、エンコーダ付きで70〜80万円といったあたりがバランスのとれた値付けかなという気がします。ニューアトラクスの定価が確か当時50万円台でしたので、それとの比較も加味すると、ずばり、素で約60万円、エンコーダ付きで約80万円が目標価格と予想しますが、どうでしょうか?