以前、アップデートの案内が来ていたので注文していた「ステラナビゲータ11」(SN11)が本日、到着しました。
中身はディスクの入ったパッケージと100ページほどのマニュアル。マニュアルはサイズ的にも厚さ的にもディスクケースの中には納まりません。こうなってくると、マニュアルも本格的に電子化すべきじゃないかという気もしますが、紙のマニュアルは一覧性に優れているので、このまま続けてほしい気もします。
インストール作業自体は特に問題なく。旧バージョンとの共存も可能です*1。なお、早々に11.0aへのアップデータが出ているので、更新しておきましょう。
ちなみに、ソフトのアイコンは旧バージョンからデザインが大きく変化。これまでは何らかの形で天体がモチーフになっていたような気がしますが、SN11では昨今のフラットデザインの流行を受けてか、地球(天球)と地軸をモチーフにしたと思われる平面的なものに変わっています。
ただ、赤っぽい色合いに加えて、地軸を示すと思われる斜線が打ち消し線っぽく見えてしまい、どうにもゴーストバスターズ的なアレを連想してしまいます(^^; 実害はほとんどないと思いますが、慣れるまではステラナビゲータを連想しづらいかもしれません。
起動すると、新機能である「ステラパネルモード」と従来からの「星図モード」の選択画面が現れます*2。
前者は、主な天体現象や見ごろの天体などをパネルで表示してくれるモードで、これらを選ぶとその現象等を星図で表示してくれます。同様の情報は従来も星図のサイドパネルで参照可能でしたが、こちらの方が直感的で分かりやすいです。
右上隅の「×」を押すことで、パネルを閉じて従来の星図モードに移行することができるので、起動時はとりあえず「ステラパネルモード」にしておくと、天文現象の見逃しを防ぐことができるかもしれません。
今回のアップデートの目玉の1つが「表示の美しさ」ですが、天の川を表示させると一目瞭然。ステラナビゲータ10(SN10)と比べてSN11の方がずっと「それっぽく」見えます。ただし、天の川画像の解像度はそれほどでもないので、ちょっと拡大するとそれなりにアラが出るのが惜しいところ。
一方で星雲の表示については、周囲との調和という意味で、SN10の方が違和感が少ない印象です。
さらに言うと、デフォルトの状態で画像が表示される対象はSN10の方が多そうです。SN11ではM16やM17すら表示されません。
もっともSN11の場合、星図の代わりに全天写真や写真の明暗を反転したものを表示することが可能で、これを使うと写真の構図確認などには圧倒的に有利です。
SN11のもう1つの目玉は「マルチバンド星図」の表示で、紫外線宇宙望遠鏡GALEXや赤外線天文衛星IRAS、あるいはHα線での全天観測データを星図上にオーバーレイ表示できるようになっています。特にHα線や赤外線の観測データは、淡い散光星雲や超新星残骸の位置、大きさの確認に有用で、こうした天体を撮影する際の参考になります。
ところが、惜しいのがこの「マルチバンド星図」の位置がどれも星図に対してひどくズレていること。ズレが特に大きいのは、はくちょう座~カシオペヤ座に至る秋の天の川周辺で、最大で7度ほどはズレているようです。
天の位置によってズレの方向、大きさが不均一なので、おそらくはデータをマッピングする際の不具合かと思いますが、今後、何らかの形でアップデートが入るのではないかと思います。
「マルチバンド星図」のヘルプには「全天上の大まかな分布を示しており、座標は厳密なものではありません。」とあるので、もしかするとメーカー的には「仕様」なのかもしれませんが……さすがにこのズレは大きすぎるので、修正されることを信じたいところです。
【追記 2019年3月27日】
上記不具合については修正予定との情報を頂きました。期待して待ちたいと思います。
ありがとうございます。マルチバンド星図の表示ずれについては修正見込みとなっておりますのでしばらくお待ちくださいませ。ご不便をおかけしまして申し訳ございません。
— アストロアーツ (@AstroArts) 2019年3月27日
【追記 2019年4月8日】
上記不具合については、4月5日公開の11.0bアップデータで修正されました。現在は特に問題なく利用できます。
この他はおおむねSN10の機能を踏襲していて、これまでステラナビゲータを使ってきた人にとっては、操作方法などで特に引っかかる点はないでしょう。アップデート価格もそれほど高くないですし、SN10などをお持ちの方は、アップデートして損はないと思います。