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AFボーグ

このところあまりにも天気が悪いことから、ミニボーグの地上での活用に走っています。前回までにフィールドスコープとしての使用にはおおよそ目途がついたので、続いてペンタックスユーザーの特権とでもいうべき「ボーグのAF化」に着手しました。

ペンタックスは過去製品についても互換性を重視していることで有名ですが、その流れで、昔のマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカス化するアダプターをいまだに販売しています。

それが「F AFアダプター 1.7x」。鳥撮りをやる人の間では有名ですが、これをボーグとカメラの間に挟むことで、オートフォーカスが可能になるとともに焦点距離が1.7倍に伸びます。私が持っているミニボーグ60EDに適用した場合、口径60mm、焦点距離350mm×1.7=約600mm、F10の望遠レンズになるわけです。

とはいえ、新品で買うと4万円前後するパーツなのでこれまで買うのをためらっていたのですが、状態の良い中古が2万円台で手に入りそうだったので、思い切って購入してしまいました。外箱や説明書こそないものの、本体やレンズには傷などもなく、新品と遜色ありません。

で、これをミニボーグ60EDと接続します。写真の構成は筒先から

  • ミニボーグ60ED対物レンズ【2260】
  • M57ヘリコイドS【7757】
  • M57/60延長筒L【7604】
  • ミニボーグ鏡筒DX-SD【6011】
  • M57/60延長筒S【7602】
  • カメラマウントホルダーM【7000】
  • カメラマウント PK(改)【50021】
  • F AFアダプター 1.7x
  • K-5IIs

という組み合わせ。これで重さは800g程度しかありません。F値が違うとはいえ、焦点距離が同程度の「HD PENTAX-DA 560mmF5.6ED AW」が約3kgもあることを考えると、取り回しの良さが際立ちます。しかも後者は50万円以上もするのですから……。


上記構成で注意が必要なのがカメラマウントで、今回用いている【50021】は仕様としてカメラ側に接する面のアルマイトが剥がされています。こうすることでカメラ側の接点が短絡し、ボーグ側をカメラレンズとして認識、AFが効くようになるのです。私の場合、こういう使い方もするかと思って最初からこのカメラマウントを買っていたのですが、もし通常仕様のカメラマウント(ペンタックスK用【5002】)を買っていた場合、やすりなどで接点が接触する部分のアルマイト被膜を剥がすことでも同様の効果が得られます。もっとも、先人たちの情報を見るに、被膜が頑丈で相当骨が折れるようですが……(^^;

撮影モードとしては、上記構成の場合「絞り優先自動露出」(Av)および「マニュアル露出」(M)のみが有効となります。ボーグにはカメラ側から操作できる絞りがありませんから、実質、マニュアル露出専用と考えてよいでしょう。それでも、数回試し撮りすれば適した露出設定はすぐ分かりますから、それほど大きな支障にはなりません。

他にも、特定のピンのみ短絡させることで絞り値をカメラに送ったり、「シャッター&絞り優先自動露出」(TAv)を有効にする技があるようなので、興味のある方は調べてみるとよいでしょう。


また、カメラ側のメニューで「絞りリングの使用」を「許可」に設定しておかないと、シャッターが切れないので、その点は注意が必要です。


なお、AFが効くようになるといっても、アダプター側の調整可能範囲は限られるため、ドローチューブの抜き差しやヘリコイドでおおまかにピントを合わせたのち、最後にAFでピントを詰めるという使い方になります。それでも、あるとないとでは大きな違いです。

「F AFアダプター 1.7x」は仕様としてF2.8より明るいレンズでの使用を推奨しています。これは、焦点距離の延長=F値の上昇によって位相差センサーへ届く光量が減少することを想定してのことだと思いますが、最近の機種ではAF性能が向上しているためあまり気にしなくて良いようです。実際、上記の組み合わせでもかなり暗いところまでAFが動作しました。普段使いでは特に問題ないと思います。