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自然分補給


コロナ禍のおかげで遠出するのもはばかられる現状ですが、逆に「近場なら問題あるまい」というわけで、先日、双眼鏡とカメラ片手に比較的近所の多摩川河川敷に「塩分」ならぬ「自然分」を補給に出かけてきました。


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まぁ、「片手に」と言う割に装備はガチ目。カメラ機材としては、ミニボーグ60EDにペンタックスの「F AFadapter1.7x」を組み合わせた、いわゆる「AFボーグ」を持ち出しました。


「F AFadapter1.7x」は、マニュアルフォーカスレンズと組み合わせるとオートフォーカスが可能になるという、夢のようなレンズ。ボーグにカメラマウント PK(改)【50021】を取り付け、「F AFadapter1.7x」と組み合わせると、ボーグでもオートフォーカスが可能になるのです。これを俗に「AFボーグ」と呼んでいます。以前から定番の方法ですね。


「F AFadapter1.7x」は、公式にはF2.8より明るいレンズでの使用が推奨されていますが、比較的新しいペンタックスの一眼レフであれば、測距センサーの感度が高いので、それよりずっと暗いレンズでも実用になります。今回はミニボーグ60ED(F5.8)に直接装着しましたが、晴天下では特に大きな問題は発生しませんでした。


焦点距離は595mmで、私が使っているK-5IIsとの組み合わせなら、35mm判換算で約890mm相当にも達します。F値は約10とさすがに暗くなりますが、昨今のカメラなら感度を上げてカバーすればいいですし、これだけの焦点距離があれば普通はまず十分です。なにより、この焦点距離の超望遠レンズを用意しようとしたら数十万円ではきかない世界になってしまいます。


なお、鏡筒に巻いてあるのはHobby's Worldで取り扱いがある「フレックス迷彩テープ」。安い上に何度も再利用が可能なので、自分のような「テンポラリなんちゃって鳥屋」には大変助かります。
www.hobbysworld.com


足元はマンフロットの「190プロアルミニウム三脚 3段」にミザールのK型経緯台という組み合わせで、星屋にはお馴染みの構成です。これも鳥屋基準で言うと非常にコストパフォーマンスの高い組み合わせ。鳥屋に人気のあるジンバル雲台やビデオ雲台だと、数倍の価格のものが多い上に微動が不可だったりするので、動きの速いものを相手にする場合はともかく、じっくり撮るには向いている組み合わせだったりします。


散策開始


こうした荷物を抱えて河川敷を散策です。



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まず捉えたのはカワラヒワ。群れでキリキリコロコロ鳴いていたので、すぐに分かりました。カワラヒワには、冬に大陸から渡ってくる、よく似た亜種オオカワラヒワというのがいるのですが、頭が灰色がかっていないところを見ると、こいつは普通のカワラヒワでしょうか。背中側から風切羽が見えると、白い縁取りの多少で判別がつくのですが(オオカワラヒワの方が白い縁取りの幅が広い)。



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次に捉えたのはツグミ。これもどこにでもいるありふれた鳥ですが、芝生でじっと何かを見つめるたたずまいは、なかなか様になっています。ツグミの中には、赤みの強い亜種ハチジョウツグミや中間型の俗称「四畳半ツグミ*1などというのも稀にいるのですが、残念ながらこの二個体はごく普通のツグミのようです。



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同じ場所でハクセキレイ。こちらは後ろ向きになってしまいました。頭まで灰色なあたり、メスでしょうか?ハクセキレイも亜種が多く、1羽ぐらい混じってないかとついつい観察してしまうのですが、こいつも残念ながら普通の個体でした。



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もう少し下流に進んだところで、チドリっぽい小鳥を発見。模様はコチドリに似ていますが、コチドリは基本的に夏鳥ですし、アイリングの黄色も淡いので、おそらくイカルチドリでしょう。砂場でせわしなく採餌をしていました。



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さらに下流にはアオサギが。これもごく一般的な普通種ですが、ふてぶてしい面構えは迫力十分。胸元の飾り羽もきれいです。



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終点近くの橋の付近には、例年通りガンカモ類が群れていました……といっても、いるのはヒドリガモコガモ、少数のハシビロガモオオバンくらい。昔はオナガガモキンクロハジロもそれなりの数いたのですが、すっかり見なくなってしまいました。一方で、最近はオオバンの勢力伸長が著しいです。河川敷の環境や水質変化などが影響しているのかもしれませんが、不思議なものです。


最終的に、確認できた鳥は以下の通り。


スズメ、ハシブトガラスヒヨドリムクドリシジュウカラキジバトメジロカワラヒワツグミハクセキレイキジバトイカルチドリイソシギダイサギ、ウグイス(鳴き声のみ)、コジュケイ(鳴き声のみ)、アオサギコガモヒドリガモオオバン(計20種類)


都心としては、多くもなく少なくもなく、といったところでしょうか。


行きがけに寄り道などもしたので、歩行距離は最終的に合計12.5kmほど。うち河川敷を歩いたのは正味4kmほど。久々にいい運動になりました。


余談


それにしても、改めて驚いたのがDeNoise AIでおなじみ、Topaz LabsのSharpen AIの威力です。だって、これですよ!?


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もちろん、シャープネスを上げたことによるアーティファクトなどが出てはいるのですが、ノイズを抑えつつもこれだけ自然に引き締まってくれるのなら、十分かなという気がします。


天体写真だとシャープ系フィルターは画像が荒れる原因になって使いづらいのですが、この手の写真なら非常に有用そうです。

*1:「ハチジョウ」の約半分、という意味でのダジャレ。もちろん、ハチジョウツグミの「ハチジョウ」は「八畳」ではなく、八丈島の「八丈」です。