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梅雨の晴れ間に

関東地方はいよいよ梅雨に突入しましたが、金曜はうまい具合に晴れの予報。この機会を逃すと次にいつ晴れるか分かったものではないので、仕事を終えて帰宅後、月没を待って近所のいつもの公園に出撃しました。

この公園、深夜に騒ぐ連中がいたせいで、以前は利用時間に制限があったのですが、ありがたいことに最近になって制限時間が取り払われたようです。どうしようもなく明るい空とはいえ、都心で空を見渡せる貴重な場所。追い出されないように静かに利用しませんと……。


まだ真夏ではないので気温はそれほど高くなく、長時間露出が必要な対象にはもってこい。ただ、カラッとしている割に透明度はあまり高くなく、最微等級は光害の影響が最も少ない天頂付近ですら3.0等程度とさえない空です*1。また、シーイングもかなり悪いようで、アンタレスがかなり激しく瞬いています。


この状況で何を撮るか迷ったのですが、シーイングの悪さを考えると長焦点鏡での球状星団狙いは分が悪そうです。そこで、以前カラーで撮ったもののイマイチな結果に終わっていた北アメリカ星雲&ペリカン星雲を狙ってみることに。

そもそもが淡い上、北に偏っているせいで、渋谷・新宿の光害&公園のすぐ北を走る幹線道路の影響をモロに受ける対象ですが、どこまで写ってくれるでしょうか……?



2016年6月11日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO400, 露出300秒×16コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1dほかで画像処理

で、出てきた結果がこれ。さすがに相応に荒れてはいますが、上記のような極悪の条件下でこれなら悪くないんじゃないでしょうか。光害の影響で、案の定カブリがなかなか酷かったですが、なんとかねじ伏せました。

下に詳細な記事を上げていますが、今回はあえて感度設定を下げて、1コマあたりにセンサーに光をあてる時間そのものを伸ばす方針で撮っています。効果は確かに出ているようです。なお、感度設定をさらに下げれば1コマあたりの露出時間を伸ばせますが、その分トータルの撮影時間も伸びるので、夜の短いこの季節だとなかなか大変です。トータルの時間を伸ばしたくなければ、その分コマ数を減らせばいいわけですが……コンポジットの効果との兼ね合いになるので、どちらが有利か、これも実験が必要かもしれません。

*1:月明かりのない深夜なのに上の写真のような状況なので、条件は容易に想像つくかと……。そもそもフラッシュなしの手持ちで撮影できるあたりで「お察し」ではありますが。