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SXP赤道儀実戦投入

三脚の問題も片付き、すっきりしたところで機材一式を外へ。前回、オートガイドの精度を検証した時には月が大きかったので、今回がSXP赤道儀の実戦デビューとなります。

今まで撮影に使っていた駐車場が使えなくなってしまったので、今回は家の玄関先で。西半分しか使えない上*1、上空を多数の電線が走っていて難儀しますが、当座は仕方ありません。子午線を超えてきた天体を端から順に撮影していきます。




2013年5月3日 ビクセンED103(D103mm, f795mm)+SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3+IDAS LPS-P2-FF, ISO800, 露出120秒×21コマ
ガイド鏡(D60mm, f540mm)+Lodestar改によるオートガイド
ステライメージVer.7.0で画像処理(一部をトリミング)*2

まずは、しし座のお尻のあたりにあるM65とM66のペアから。写真右下がM65、左下がM66です。そのすぐ北側にあるのははNGC3628で、この3つで「しし座銀河群」を形作っています。地球からの距離はおよそ3500万光年で、一説には、元々M96などと同じ銀河群のメンバーだったとも言われています。

3つの銀河の形がそれぞれ異なるので、写真を撮ると面白い対象です。空の透明度が決して高くなかった上、夜早い時間の撮影だったので光害がひどく、どこまで写るか心配でしたが、そこそこ見られる程度には写ってくれました。

なお、コンポジットのコマ数が中途半端な数になっているのは、SXD赤道儀を使っていた時の習慣で、ガイド失敗を見込んで余分に枚数を撮ったため。16枚をコンポジットするつもりだったんですが、ガイドの失敗が1枚もなかったので余分に撮った分もすべてコンポジットに回すことができました。




2013年5月3日 ビクセンED103(D103mm, f795mm)+SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3+IDAS LPS-P2-FF, ISO800, 露出120秒×8コマ
ガイド鏡(D60mm, f540mm)+Lodestar改によるオートガイド
ステライメージVer.7.0で画像処理
(中央部をトリミング)

お次は「おとめ座銀河団」に属する楕円銀河M49。メシエ天体の中では大型の銀河で、楕円銀河の中では最大級のものとして知られています。地球からの距離は約5500万光年。

楕円銀河は、正直なところ写真に撮ってもあまり面白くはないのですが、写野全体を見渡すと少し話が違ってきます。下がトリミング前の写真ですが、星図のように「おとめ座銀河団」のメンバーである銀河が多数写りこんでいます。これらの1つ1つが、みな銀河系のような銀河だと思うと、宇宙の広大さを思わずにいられません。






2013年5月4日 ビクセンED103(D103mm, f795mm)+SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3+IDAS LPS-P2-FF, ISO800, 露出120秒×24コマ
ガイド鏡(D60mm, f540mm)+Lodestar改によるオートガイド
ステライメージVer.7.0で画像処理
(中央部をトリミング)

そして最後はりょうけん座の「子持ち銀河」ことM51。個人的にはこの夜の大本命です。

地球からの距離は約3700万光年。ユニークな姿に加え、銀河としては比較的大きく明るいので、人気のある対象です。街の明かりが減ってくる深夜になってからの撮影だったこと、気温が下がってきたこと、また露出をしっかりかけたこともあり、よく写った方ではないかと思います。惜しむらくは撮影途中に雲が出てきてしまったことで、本当はもう十数コマ撮ってあったのですが、残念ながらそちらは使い物になりませんでした。


それにしてもSXP赤道儀、実に快適です。追尾の安定性はSXD赤道儀なんか足元にも及びませんし、風の影響についても単に比較論の問題で、実際の撮影の上ではまったく支障になりませんでした。これだけストレスなく撮影できると、やる気も稼働率も上がりそう。思い切って買い換えて正解でした。

*1:構造上、ドイツ式赤道儀では子午線を大幅に超えての撮影はどのみち困難なので、実用上の問題はないですが。

*2:構図を誤って、トリオを中心部に持ってこれなかったのはここだけの内緒。