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ミラーレス機の明日はどっちだ?

さて、23日にはペンタックスからミラーレス機の発表があるとかないとか情報が錯綜しているようですが、とりあえずそれに先立ってミラーレス機について、ちょっとアレコレ考えたことを書いてみようと思います。
現在、日本国内でミラーレス機を作っているのはパナソニックオリンパスソニー、リコーの4社ですが、各メーカーにおけるミラーレス機の位置づけは、大きく以下の2つに分けられます。

  • コンデジと従来型一眼レフの間を埋める機種として。
  • デジカメならでは、あるいはミラーレス機ならではの利点(小型軽量、常時ライブビューが可能など)を生かすためのプラットフォームとして。

前者の場合、メーカーとしては将来的に、ユーザーがミラーレス機から従来型一眼レフへさらにステップアップすることを期待しているといえます。ミラーレス機が登場した当時、具体的にはマイクロフォーサーズが出た頃ですが、この時期にはこの前者の考え方が強かったように思います。
しかしこの前者のシナリオには、単純だけど大きな問題が1つあります。ミラーレス機と従来型一眼レフとのマウントの互換性がないという点です。ミラーレス機でコンデジからステップアップしてきたユーザーの場合、もしそこから従来型一眼レフへさらにステップアップしようとした場合、レンズなどをまた1から買いなおさなければなりません。付け加えるなら、ミラーレス機を買う層というのは、従来型一眼レフの大きさや重さに不満を持っていることが多く、こうした点も移行を阻害する要因に。
また、メーカー側から見た場合には、2つの異なるマウントのレンズを維持し続ける必要があり、開発リソース的に苦しくなるのは事実でしょう。
かくして、ミラーレス機から「レンズ交換型カメラ」に入ったユーザーは上位機種へは移行せず、ミラーレス機を出したメーカーの従来型一眼レフは製品ラインナップの維持に苦戦することになります。
実際、オリンパスは上位たるフォーサーズ機はE-5、E-30E-620の3機種が残ってはいるものの、E-30E-620はいずれも2年以上前の機種であり、事実上の開店休業状態。ソニーも、純然たる従来型一眼レフは2008年発売のα900のみで、「トランスルーセントミラーテクノロジー」採用のα55のラインを考慮に入れたとしても、NEXシリーズの方に力が入っているのは明らかです。
さて、こうした中で登場が予想されるペンタックスのミラーレス機がどうなるかですが、市場シェアが高くない上、開発リソースが決して豊富とはいえないメーカーだけに、細心の舵取りが求められるところです。全体の製品ラインナップを考慮に入れなければ、個人的にはAPS-Cなどの大型センサーを採用した機種が出てほしいところですが、実際にはこの場合、比較的好調な売上を記録しているK-rとの「共食い」は避けなければなりません。完全に「K-rの後継」と割り切ってしまうのも手ではありますが、その場合は上に書いたように、上位機種への移行に問題が出てきます。
一方、1/2.33型などのコンデジ用センサーを用いた「Auto110」のデジタル版という噂もありますが、こちらの場合は機種のコンセプトの設定が難しくなります。価格と利便性をわざわざ犠牲にしているのに画質はコンデジ並みということになりますから、デザインなども含め、相当魅力的な商品提案をしないと討ち死に必至です。
そして、いずれの場合もレンズのラインナップをどうするかは大きな問題になりそうです。ペンタックスのKマウントはフランジバックが長く、ミラーレス機でネイティブ対応するのは無理があります。となると、必然的に2つのラインを維持していく必要がありますが、開発リソース的には…さて?マイクロフォーサーズやEマウント、Mマウントなどの既存のマウントを採用すれば、少しは楽ができそうですが…。