【2026年1月15日】
「補正光学系の後ろにフィルターが挿入された場合のバックフォーカス」について、解釈に誤りがあり正しいバックフォーカスが取れていなかったことが判明したため、本記事は取り下げさせていただきます。正しい結果については後日改めて。
先月来、だいぶ時間が空いてしまいましたが、ようやく実写テストです。前回の「外観編」はこちらから。
ここまで時間がかかってしまったのは、FMA135のバックフォーカス「55mm」を達成するための延長筒の準備が整わなかったから。FMA135はフラットナーを内蔵しているため、フラットナー後端から撮像センサーまでの距離が厳密に決められています。この距離が長かったり短かったりすれば、鏡筒は所定の性能を発揮できず、特に画像端において星像が歪むことになります。
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当初、55mmは手持ちのボーグのパーツを組み合わせれば容易に達成できると踏んでいました。光路長のカタログ値はこんな感じ。
使用するカメラ(ZWO ASI2600MC Pro, ASI533MC Pro)のフランジバックが17.5mmなので、同じく手持ちのM42延長筒(光路長5mm)を挟めば32 + 5 + 17.5で光路長54.5mm。おおむね光路長55mm……という計算だったのです。
ところが、実際に試してみると星像があまりに悪すぎる……。そこでよくよく確認してみると、M57→M36.4AD【7522】の光路長の見積もりが間違っていることが判明しました。
M57→M36.4AD【7522】は、接眼側のM36.4のメスねじの外側にM42のオスねじが切られています。で、よくよくサイズを確認してみると……

M42を利用した場合、オスねじ部分は前後のパーツに埋没するため光路長に寄与せず、光路長は中央の5mm分しかないということが判明しました*1。となると、欠けた分の4mmをどこかで補わなければなりません。ネットを探すと、ちょうど光路長9mmのM42延長筒を発見。これを5mmの延長筒の代わりに挿入すれば、ちょうど辻褄が合うはずです。


が、届いた延長筒を見てみると、光路長が7mmしかなく、おまけに既存のM42パーツにねじ込もうとすると、途中で引っ掛かってしまって完全にねじ込めません*2。あとから測ったところ、M42はM42でも、こいつはピッチが1mmのいわゆる「T1ねじ」*3であることが判明。天文関係で多く使われるのはピッチが0.75mmの「T2ねじ」(いわゆるTマウント)なので、ねじ込めるわけがありません。
結局、シュミットで7.5mmのM42延長筒とシムリングを購入。この延長筒に0.5mm厚と1mm厚のシムリングを組み合わせれば、ちょうど9mmを稼げる計算になります。おまけに、シムリングを挟むことで先に問題になったねじの噛み込みも防げます。
www.syumitto.jp
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だいぶ遠回りになりましたが、これでようやく撮影準備が整いました。

というわけで、早速玄関前でテスト。ターゲットは、天の川の中にある二重星団h- χです。撮影に用いたカメラはAPS-CサイズのASI2600MC Proで、フィルタードロワーにはZWOのUV-IRカットフィルターを挿入。オートガイドは25mm CCTVレンズを装着したASI120MCを用い、1ショットの露出は30秒です。



30秒露出の1枚撮りはこんな感じ。APS-Cの四隅では相応に星像が崩れますが、メーカー公表のスポットダイヤグラムと比較すると、まぁ、こんなものかなという気はします。

一方、ASI533MC Pro(1インチ)の四隅は崩れ方も小さく、あまり気にならないレベルです。

フラット画像の光量分布。APS-C周辺で20%近い光量低下がみられます。ただ、周辺減光のパターンとしては素直なので、補正はそれほど難しくなさそうです。ASI533MC Proの場合(青枠)、光量低下は5%ほどです。
次に、これを軽本気でく処理してみます。PixInsightにて、WBPPののちMGCでカブリを除去、GraXpertでノイズを除去してSPCCでカラーバランスを整えたのち、HTで階調強調&CSで彩度強調します。


まぁまぁ悪くない感じですが、やはり周辺部は星が多少肥大している印象。四隅を拡大してみると、星像の崩れがさすがに気になります。そこで、階調強調の前にBlurXterminatorによる処理を加えたのがこちら。


星像が一気に締まりました。四隅を拡大すると、若干補正しきれず星像が妙なことになってる箇所がありますが、ブログやSNSに流す程度なら十分でしょう。


それに、自分は主としてASI533MC Proで使うつもりなので、BXTの適用前後でこのくらい性能が出るのなら、十分だろうと思います(写真上:適用前、写真下:適用後)。
*1:この計測結果からすると、カタログ値の「9mm」というのも「『8mm』が正しいのでは……」と考えざるをえません。
*2:なお、無理やり使うと奇跡的に9.5mmの光路長を稼げましたが、さすがに不安すぎます。
*3:カメラ業界ではM42マウントとして有名。 dc.watch.impress.co.jp
