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春アニメまとめ

週末を使って、各々最終回まで片付けましたので、遅ればせながら簡単に感想をば。

Angel Beats!

Keyの麻枝氏がアニメに進出ということで放送前から話題になっていた作品ですが、見終わってからの個人的な評価としては「やりたいことは分かるけど、イマイチ残念なデキ」といったところ。とはいえ、致命的な欠陥や破綻があったわけではないですし、求められる一定の水準は十二分に満たしていたかと思います。なんだかんだ言いながらも、最終回までそこそこ楽しみながらきっちり見てるわけですし。
が、それでも気になる点があったのは事実。考えてみると、以下の2つの点が自分の中で大きな減点要素になっているようです。

幸・不幸、善悪の価値観の押し付け

「押し付け」というといささか言いすぎかもしれませんが、とにかく「泣かせよう」という意図が露骨で、結果、ステレオタイプかつ極端に単純化された価値観が作品中にまま感じられました。特に顕著だったのはユイのエピソードで、ここには「障害者はかわいそうで不幸なもの」という「健常者」の傲慢が透けて見えるような気がします。他にも臓器提供の話など、本来微妙な問題をはらむはずのものが単純化、美化されていて、どうにも居心地が悪かったです。まぁ、元々が自分、「お涙頂戴もの」は苦手なクチですので、その意味で厳しく見てしまっている点はあるかとは思いますが。

主人公たちへの共感の困難さ

ストーリーの都合上、世界の成り立ち、役割が最終盤まで不明な上、主人公である音無の得ている(と視聴者が認識できる)情報が限定されているため、音無の行っている行為が正しいものなのかどうかの判断が視聴者にはできず、共感しづらくなってしまっています。もっとも、情報が限定されていたとしても、視聴者の視点が主人公と一致していれば、自覚される問題は少なかったはずですが、このあたり、物語を展開する上でのゲームとアニメの差が出てしまったのではないかと思います。
ゲームの場合、プレイヤーが操作するのは主人公ですから、プレイヤーの視点は自然と主人公と一致することになります(ビジュアルノベルであっても、基本的に主人公視点で物語が進むので同じことです)。主人公の顔が描写されないことが多いエロゲなどは典型ですね。しかしアニメの場合、主人公を含め、複数の人物がそれなりの重みを持って描写されることがほとんどですから、視聴者の視点を主人公と一致させるためには、主人公の描写を厚くする、行動の理由を明確化するなど、それなりの手順が必要とされるはずです。が、元々の登場人物が多いことなどもあって、主人公の描写が概して薄味になりがちで、視点の誘導があまり上手くいっていなかったような感じがあります(そもそもの、音無が戦線に参加することを決めるところからして唐突で、置いてけぼりにされた感が強かったです)。こうなると、視聴者の視点はいわゆる「神の視点」になってしまい、一歩引いた第三者的な目で作品を見ることになってしまいます。これだと、行動によほどの説得力がない限り、どうしても共感はしづらいです。
…といったあたりが、見ていて引っかかった点ですが…そういった細かいことを考えずに「天使ちゃんマジ天使」とニヤニヤしながら見てるのが、ある意味正しい視聴姿勢だったのかもしれません(^^;

閃光のナイトレイド

巷では完全に空気扱いのようですが、思った以上に手堅い作りで、個人的には結構楽しめました。作画も悪くなかったですし。とはいえ、抑制が効きすぎて徹頭徹尾地味だったのは事実。せっかくの超能力モノなのだから、もう少しケレン味があってもよかったように思います。あと、時代背景が満州事変前後の中国大陸ってことで、一般的にはなじみが薄いのも地味に映った原因の1つでしょうね。石原莞爾の「世界最終戦論」とか、知らない人も多そうだもんなぁ…( ̄w ̄;ゞ

Working!

序盤は、次々出てくる登場人物が極端な変人ばかりなものだから、「ああ、4コマでよくある、キャラのインパクトだけで笑わせる作品か」と正直ナメてたんですが、レギュラーが出揃った中盤以降は、ねじくれた人間関係がストーリーの中心になって破壊力が倍増。安心して見られる作品になった感があります。最終回は、あれはあれできれいに終わったけど、小鳥遊君が伊波さんへの想いを自覚したことでますます人間関係がねじくれてきそうですし、まだまだ続きを見たい気がします。

荒川アンダーザブリッジ

こちらは紛うことなきインパクト勝負の作品。とはいえ、そのインパクトが半端ではないので、かなり安定して笑わせてくれました。新房監督の特徴的な演出も見事にかみ合ってましたし、なかなかレベルの高いデキだったかと。

おおきく振りかぶって〜夏の大会編〜

2期目ですが、相変わらずの安定した面白さ。いい意味で、特筆することがありませんね(^^; 相手チームも含めて登場人物が多いんで、初見だとキャラの把握に苦労しそうですが…。そのうち3期目もやるかもしれませんが、原作の方が、ちょっとストーリー的にも作品の力的にもやや停滞気味のところがあるので、頑張ってほしいところです。

薄桜鬼

絵柄に惹かれて見始めたクチで、内容自体はいわゆる「乙女ゲー」原作ということで正直あまり期待していなかったんですが、あにはからんや、普通に面白かったですね。元々が女性向けだけに、キャラが変に男性視聴者に媚びてないのが、かえってよかったのかもしれません(^^; ただ、史実どおりなら全滅エンドは免れないわけで…第2期はかなりの鬱展開のオンパレードになりそうです( ̄w ̄;ゞ