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Temma2Z赤道儀発売

http://www.takahashijapan.com/ct-news/news_topics/news_temma2z.html

高橋製作所の自動導入対応赤道儀「Temma2M」シリーズ生産終了の発表があったのは先月の20日でしたが、それから1か月後の12月21日、新しい「Temma2Z」シリーズが発表になりました。実際の発売日はEM-11Temma2Zが来年1月、EM-200Temma2Zが今年の12月中、EM-400Temma2ZとEM-500Temma2Zが来年の2月とのこと。


発表されたのはEM-11Temma2Z、EM-200Temma2Z、EM-400Temma2Z、EM-500Temma2Zの計4機種。耐荷重はそれぞれ約8.5kg、約16kg、約35kg、約40kgで、このあたりを含めた機械部分にはTemma2Mからの大きな変更はないようです。カラーリングは変更されていて、差し色としてコントロールボックスや制御ボックスがブルーブラック……要は紺色に塗装されています。また、本体色としてライトブルー仕様のものが追加されるとのこと。どちらかといえばタカハシは「性能第一。外見は二の次」という印象があるので、差し色の使用やカラバリ展開は意外な感じもします。

個人的には……色自体は悪くないけど、塗り分けがされたことでかえって制御ボックスの「取って付けた感」が目立ち過ぎかなぁという印象。今回のはマイナーアップデートなので仕方ないですが、次世代機ではもう少しスマートにまとまってくれるといいように思います。まぁ、見た目については個々人の好みや慣れの問題も大きいので一概には言えませんが……。


さて、Temma2Zの最大の変更点は電装品周りです。具体的には

  • モード切替ダイアル、修正速度設定用ボリュームをコントロールボックス側から制御ボックス側に移動。
  • オートガイダー用端子がモジュラージャック(RJ12)に変更。
  • コントロールボックスの赤経赤緯駆動用ボタンの大型化。

といったあたりがメイン。特にオートガイダー端子がモジュラージャックになったのは朗報で、配線のアサインにもよりますが、おそらくはこれでST-4互換ないしSBIG互換のオートガイダーを一般的なケーブルで直結することができるようになるんじゃないでしょうか。


PCとの接続は従来と同じミニDIN端子によるRS-232C接続。いい加減USBあたりに移行してもよさそうなものですが、海外他社製品でもRS-232C接続のものが多いところを見ると、ケーブルが抜けにくい点なども含め、利点はあるようです。とはいえ、そろそろ本気でなんとかしてほしいところではあります。


一方で、各種ボリュームがほとんど可変抵抗のボリュームそのままっぽいのは何とかしてほしかったところ。しかも奥まったところにあるのでドライバがないと回せなさそうです。うっかり設定値が変わってしまうのを防げる利点はありますし、頻繁に変更するものでもないとは思いますが、現在の設定値を確認しづらいことも含めUIとして問題ありのように思います。

同様のことはコントロールボックスにも言えて、赤経赤緯の駆動用ボタンが大きくなったのはいいものの、その他のスイッチや印字は小さいままで視認性がよくありません。ボックス自体の見た目も秋葉原で部品を寄せ集めて作ったかのような色気のなさで、性能と直接関係ないとはいえ、売り物としてもう少し気を使ってもいいんじゃないでしょうか。


ともあれ、こうした電装品の改良によって部品点数が減ったのか、価格は従来のTemma2Mから大きく引き下げられています。

  • EM-11Temma2M \344,000 → EM-11Temma2Z \275,000
  • EM-200Temma2M \526,000 → EM-200Temma2Z \435,000
  • EM-400Temma2M \928,000 → EM-400Temma2Z \908,000
  • EM-500Temma2M \1,373,000 → EM-500Temma2Z \1,370,000

といった具合で、特に主力機であるEM-200は9万円ほども安くなっています(価格はすべて税抜)。これはかなりインパクトのあることで、海外製品はさすがに論外としても、ビクセンのSXP赤道儀(定価\380,000、実売\323,000)あたりとはこれまで以上に競合しうる位置に立ったといえます。EM-400も、安くなったことでAXD赤道儀(定価\980,000、実売\933,334)に比べてさらに値ごろ感が出てきているように思います。


ビクセンはハイアマチュア層を逃がさないために上位機種のラインナップを強化していましたが、逆襲をかけられた形でどうにも面白くないことになりそうな気がします。機械としての地力はタカハシに一日の長がありますので、いくらUIが優れているにしても「価格面でどっこいどっこい」では厳しいんじゃないでしょうか。