本体シャーシはHDDトレイも含め、基本的にTS-239ProII+と同じです。前面パネルも、ボタンの形状とUSB2.0端子の向きくらいしか違いがありません。
背面は映像出力がHDMIになったのと、USB端子のうち2つがUSB3.0端子になったのが大きな違い。eSATAポートが減っていますが、昨今のeSATAの旗色を考えれば妥当なところでしょう。排気ファンのスリットはTS-269Proの方が若干広くなっています。
LANポートは2つ搭載されていて、これらを協調動作させてパフォーマンスや信頼性を向上させる「ポートトランキング」に対応しています。ただし、この機能を使うにはハブの方も対応が必要ですし、そこまでのトラフィックが発生することも考えにくいので、家庭で使うことはあまりないでしょう。
旧機種からの移行は実に簡単で、これまで装着していたHDDをそのまま移し替えるだけ。これだけでサーバは何事もなく立ち上がり、設定から何から、すべてそのまま移行されます。RAIDボリュームの再構成なども一切必要なし。このあたりの柔軟性はQNAPならではといったところです。
ただ、全く問題がないわけでもありませんでした。
具体的には、移行直後、管理画面へのログイン画面が表示されなかったのです。
本来であれば、「http://(NASのIPアドレス):8080」にアクセスすることでユーザーIDとパスワードを入力するフォームが現れるはずなのですが、移行直後にアクセスしてみると「背景のみ、フォームなし」のまっさらな画面が出てくるのみ。怪しいのは、NAS本体のファームウェアとHDD上のファームウェアのバージョン不一致ですが、対策を取ろうにも管理画面に行けないのですから、これでは文字通り手も足も出ません。
しかしここで、PC上で動作するユーティリティ「QFinder」からファームウェアアップデートを実行できることを思い出しました。幸い、QFinderからNASは見えていたので、ここからアップデート作業を行ったところ問題は解決し、無事正常動作にこぎつけました。
ちなみに、メインPC(CPU:Core i7 3770K, GbEコントローラ:Intel 82579V(M/Bに搭載))からのCrystalDiskMarkによるベンチマーク結果はご覧の通り(NAS側ディスク:WD20EFRX 2台によるRAID1)。
既に使用しているHDDなのであくまで参考値ですが、シーケンシャルリードで94MB/s、シーケンシャルライトで86MB/sと、かなりの速度です。GbEの実効帯域を考えると、ほぼ上限の速度と言っていいのではないでしょうか。ランダムアクセスについても、これだけの速度が出ていればまず不満はありません。HDD単体で測定したベンチマークと比較しても遜色ありません。
そうそう、あと雷で機器が破損するのはもうたくさんなので、とりあえず応急処置として既存のタップにつけて使える雷サージ対策製品(ヤザワ STB15WH)を購入。UPS導入もチラリと頭をかすめたのですが、バッテリーマネジメントの面倒さを考えて、今回はひとまず見送りです。これが活躍するような事態が来なければいいんですが…。