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NAS導入〜TS-239 Pro II+簡易レビュー

我が家には、私のメインマシンであるタワー型とノート、父のノート、妹のタワー型(以上WIndows機)&Macと計5台の現役マシンがあるんですが、データのバックアップ体制が不十分な上、データが分散しているとなにかと不便なので、前々からNASが欲しいとは思っていました。で、GWで時間的・精神的にも余裕があったので、NASの購入に踏み切りました。
家庭用のNASとしては、低価格&高機能を武器にBuffaloが高いシェアを持っていますが、最近のBuffaloの製品はなにかと不具合やバグが多く*1、またバルクのHDDを素直には使えないようなので候補から真っ先に除外。I・Oデータあたりも似たり寄ったりでしょう。加えて、HDDではなくNAS本体が壊れた場合、対応できるのかどうかもイマイチ不透明です。
で、候補に上げたのがQNAPやThecusなどの高性能NAS。正直、メインの使い道がファイルサーバ&バックアップなので、多機能である必要はないのですが、信頼性や性能、普通のバルクHDDが使える簡便さ、HDDをそのままにNAS本体を入れ替えることも可能といったあたりまで考えると、このあたりに落ち着きます。候補としたのは、具体的には以下の機種。

QNAP

  • TS-219P+
  • TS-239 Pro II+
  • TS-419P+
  • TS-439 Pro II+

Thecus

  • N2200XXX
  • N4200

大きく分けると、2ドライブか4ドライブか、組み込み向けCPU搭載かAtom搭載か、といったあたりが焦点になります。ちなみにThecusのN4200は、バッテリ搭載なのに惹かれて。この夏、電気事情がどうなるか分かりませんからね(^^;
この中でまず脱落したのは、組み込み向けCPU搭載のTS-219P+とTS-419P+です。性能的にはこれらも決して悪くはないのですが、ベンチマークの結果などを見る限り、Atom搭載の機種との間には越えられない大きな壁がある感じ。それに、組み込み向けCPU搭載という点では、それこそBuffaloあたりのNASと大差なく、せっかくこのクラスのNASを選ぶ甲斐がないというものです。
次はドライブ構成ですが、2ドライブならRAID1、4ドライブならRAID1/5/6での運用ということになります。しかし、RAID5は容量の利用効率がいいとはいえHDDの数が増える分、故障確率は高くなりますし、一方、ローカルにもデータを残しておくことも考えるとRAID6はいささか過剰なような気もします。加えて、予算や設置場所の問題もありますので、この時点でTS-239 Pro II+かN2200XXX。あとはもう、好みの問題ですね。CPUのスペックなどはN2200XXXの方が上なんですが、ハードウェアの作りとしては、TS-239 Pro II+の方がコストがかかっていてしっかりしている感じ。前々からQNAPの製品が気になっていたこともあり、結局TS-239 Pro II+に決めました。

というわけで、アキバでTS-239 Pro II+を購入してきました。店頭に在庫を置いてあるところは意外と少ない印象でしたが、今年後半には現行Atom(Pineview)の後継となるCedarviewが投入される予定ですし、、もしかすると後継機の登場も近いのかもしれません。

あわせて購入してきたHDDはSeagateの低消費電力型HDD「Barracuda Green」ことST2000DL003。容量は2TBです。SeagateのHDDは、以前ファームウェアのバグ騒動などもあり*2、個人的にはあまり印象はよくないのですが、HGSTのHDDが市場から消えつつあり、さらにWDの「Cavier Green」シリーズはQNAP TurboNASシリーズとの相性が悪いのか、「使用を推奨しない機種」になっていたので*3消去法で。こういうとき、選択肢が少ないのは本当に困ります。え、Samsung?あんなのはアウト・オブ・眼中です。

さて、TS-239 Pro II+ですが、本体以外の同梱物はQuick Instllation GuideとソフトウェアCD、HDD固定用のネジ(3.5インチ用&2.5インチ用)、ドライブケースの鍵、ACアダプタといったところ。ACアダプタは12V・7Aのもので、写真を見て分かるとおり、そこそこの大きさがあります。

HDDを固定するトレイには、3.5インチHDDを固定するためのネジ穴のほか、2.5インチHDDを固定するためのネジ穴が開けられています。少々高くつきますが、2.5インチHDDを使えば、より低発熱・低騒音のシステムが組めますし、SSDを使えばほぼ無音のシステムさえ組めそうです。

トレイを引き出した後の本体を覗き込んでみると、SATAソケットがある基板の向こう側にファンが見えます。本体にあるファンはこの1機だけですが、位置的に見てよく冷えそうです。

CPUなどは見えませんでしたが、おそらくちらっと見えてるヒートシンクの下でしょう。コンデンサは、いまやマザーボードでも普通に見るようになった固体コンデンサで、液漏れ等の心配はなさそうです。
本体にHDD2台を組み込み、LANケーブルを繋いで本体の電源を入れると、まずビープ音が短く1回鳴り、そのまま2〜3分待つと、長めのビープ音が鳴って起動が完了します。あとはPCの方に、付属のCDを入れて必要なソフトをインストールし、RAIDのタイプやIPアドレスなど、NASの設定をPC側から行えばOK。これでとりあえずは使えるようになります。インターフェイスは多言語対応で日本語化も完全ですし、インターフェイス自体も比較的分かりやすいので、迷うことはあまりないかと思います。
なお、今回は前述の通り、RAID1としてアレイを組みましたが、2TB×2の構成でアレイ構築が終わるまで数時間かかりました。アレイ構築中も普通に使用することはできますが、転送速度が遅くなる上にHDDにも負荷がかかると思いますので、本格的に使うのはアレイ構築が済んでからの方がいいかもしれません。
さて、肝心の速度ですが、NAS上の共有フォルダをネットワークドライブとして認識させた上で、メインマシン(Core2Duo E6600+Marvell 88E8056)からCrystalDiskMarkを走らせてみました。なお、メインマシンとNASの間はブリッジモードのWZR-HR-G300NHを介して、Cat6のケーブルでGbEで接続されています。また、トラブルの元になるとアレなので、ジャンボフレームはOFFにしてあります。

う〜ん、こんなもんでしょうか。速いことは速いんですが、いささか物足りないような気もします。気をつけて見ると、メインマシン側のCPU負荷が結構高めに推移しているようです。そこで、マザーボード側で高負荷時にCPUをOCするように設定して再度測定。

おおっ、結構速度が上がりました。高性能のNASを完全に生かすには、使うPC側の性能もそれなりに求められそうです。まぁ、単にMarvellのGbEコントローラがヘボいだけかもしれませんが…。メインマシンはIvyBridgeの世代になったら組みなおす予定なので、その頃にまた測定しなおしてみるといいかもしれません(^^;
動作音ですが、ファンの音は静かで、雑音の多い昼間はほとんど気が付かないレベル。タワー型のメインマシンが動いていると、ファンの音はまったく聞こえません。深夜、NASだけが電源ONという状態だと、微かに「コォーッ」というファンの音が聞こえますが、同じ部屋で寝ても気にはならないですし、十分静かでしょう。
むしろ、搭載したHDDのスピンアップやアクセス音の方がはるかに気になります。結構これ、ゴロゴロと重い音がするんですよね。SeagateのHDD、大昔に使ったことあるけど*4、そういやこんな感じの音だったっけかなぁ…(^^;

*1:業務向けのものですらこんなことをやらかしているので信用なりません。http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20101124_408949.html

*2:このST2000DL003も、初期のファームウェアCC31にはバグがあったようです。幸い、今回購入したHDDは両方ともファームウェアのバージョンがCC32で対策済みのものでした。

*3:どうやら現行の「Cavier Green」シリーズは一般にNASとの相性が悪いようで、Thecusでも互換性リストから外されていました。なんかもったいないなぁ…。

*4:Medalist 4342(ST34342)という4500rpm、容量4.3GBのHDD。97年に買ったマシンに搭載されてましたが…14年で容量500倍になってるのか!