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EdgeHD800による直焦点撮影

昨夜は、この季節にしては珍しく風が穏やかだったので、「初撮り」とばかりにEdgeHD 800を持ち出して直焦点撮影のテストをやってみました。

EdgeHD 800の焦点距離は2032mmと長く、しかもF10と暗くて比較的長時間の露出が必要なので、星を点像に写すためには極めて精密なガイドを行う必要があります。こうした撮影の場合、撮影鏡の光の一部を導き出してガイドに用いる、いわゆる「オフアキシスガイド」を使うのがおそらく一番簡単。事実上、鏡筒のたわみやミラーシフトなどは気にしなくてよくなるので、話は格段に単純になります。

しかし残念ながら、こちらの手元にはオフアキシスガイドに必要な機材がありません*1。また、レデューサーの併用については、公式にはサポートされていない場合がほとんどです。さらにこの方法の場合、オートガイダーの視野は必然的に狭くなるので、特に都心の場合、ガイドに適当な星が見つけられるか?という問題が出てきます。



そこで、とりあえず手元にある並列同架のシステムを用いてガイド鏡ガイドを試してみることにします。ガイド鏡の焦点距離は540mmと、撮影鏡の焦点距離からするとやや短いですが、粗いなりにもきちんとガイドできれば、まずは成功と言っていいでしょう。


で、結果ですが…案の定というかなんというか、見事に流れましたorz

「子持ち銀河」ことM51を狙い、ISO1600、5分露出を16枚コンポジットするつもりで撮影していたのですが、すべてのコマで星像が流れています。下の写真は、撮影した全コマを位置合わせせずに重ねたものですが、一定方向に流れているのがはっきり分かります。

この間、ガイド自体はPHD guidingのグラフを見ている限り非常に落ち着いていましたから、この「流れ」の原因は「撮影鏡とガイド鏡の相対位置が時間とともに動いてしまった」ことにあるとみて間違いないと思います。ガイド鏡についてはED103S(焦点距離795mm)での撮影にも使っていて、こんな流れ方をしたことは一度もありませんから、撮影鏡の方に問題があると考えるのが妥当です。

写真の流れ方を見ると、約40度ほどの傾きをもって左から右へと流れています。この写真では左側が天の北極になっていて、撮影時にM51は北東の空にありましたから、撮影鏡だけが動いているのだとすれば、重力に引かれてのけぞるように、かつわずかに転がるように動いたことになります。

撮影鏡はビクセン規格のアリガタレールにより、プレートホルダーSXにネジ1本で固定されているだけですから、ここでわずかなズレが発生したとしてもおかしくはありません。もしこれが原因なら、2点留めするタイプのアリミゾへの交換、より幅広のCGM規格アリガタレールの採用、鏡筒バンドによる固定などを検討する必要がありそうです。しかし一方で、これらの固定方法は収納やセッティングの容易さを下げることになるので悩ましいところ。さて、どうしたものか…。

*1:おまけにセレストロンのオフアキシスガイダーは1月現在メーカー側で品切れ。他に手頃なところとしてはOAG9もありますが、店主の行動の非常識さ(例えばhttp://blogs.yahoo.co.jp/telescopper/39737708.htmlhttp://blogs.yahoo.co.jp/telescopper/40181279.html)を見るにつけ、個人的には代理店やってる某H屋からは絶対に買いたくありません。