PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

最近のお買いもの

なんだかすっかり「買い物日記」と化していて心苦しい限りですが、またちょこちょこ買い込みました。

冠布

「冠布」と言われてピンとくる人はあまりいない…というか、それが何か自体分からない人が多そうですが、これは大判カメラで撮影を行う際、カメラマンが頭から被るビロード地の布のことです。昔、観光地などで見たことがある人もいるのではないでしょうか。大判カメラでは、カメラ背面のピントグラスに映った像を見てピントや構図を調節するわけですが、この像が特に日中は暗くて見づらいため、冠布が必要とされました。

なんでこんなものを買おうと思ったかというと、望遠鏡を覗く環境にあります。私は普段、住宅街の中の駐車場に望遠鏡を展開しているのですが、周りには街灯あり、住宅からの灯りあり、とかなり明るいのです。これだと目が暗闇に慣れず、星がよく見えません。しかもメガネに後方からの光が反射して覗きにくいことこの上なし*1。そこで、冠布で外部の光をシャットアウトしようというわけです。

それに来月の金環日食の時、ライブビューでのピント合わせにも重宝しそうです。

しかし上で書いたように元々が特殊な用途のものですし、銀塩フィルムが全滅寸前のご時世、冠布の取り扱いは非常に少ないです。普通に手に入るものとしてはエツミのものと、カメラショップの「銀一」オリジナルのものくらいでしょうか。しかも、ただの布の割に結構いい値段がします。

要は光を遮ることができればいいわけですから、代わりになりそうな布を探すことにします。

そこで見つけたのがハイミロンという生地。植毛された裏地つきの布で、暗幕や最近ではホームシアターの迷光対策にも使われているようです*2。しかも切り口がほつれず、カールもしないという優れもの。ユザワヤで約150円/10cm(幅92cm)でした。これを1m購入。布としては決して安くはないですが、既製品の冠布よりははるかに安価です。

早速その晩、使ってみましたが見やすさは雲泥の差。しかも周囲の風景が完全に遮断されるので、集中力を高める効果もあるようです。難点は若干蒸れることと、風が強い日は使うのが難しいこと、外が見えないせいで車の接近などに気が付かない可能性があることくらいです。

もっとも、最大の難点は見た目のアヤシサでしょうか。通行人が見たらドン引き、警察官が通りかかったら職務質問されること間違いなしです(^^;

EOS Kiss X5

天体写真界隈では、デジカメと言えばCanonのシェアが圧倒的です。マウント口径が大きくケラれにくい、ノイズが少なく高感度に強い、PCからのリモート撮影が可能など、理由は色々あるのですが、非純正のオプションやソフトウェアの対応なども含め、いずれにせよCanonのデジカメでないと困る場面が多々あります。

また、通常のデジカメは赤外域の光をカットするためのフィルターを撮像素子の直前に置いてあるのですが、これだとオリオン大星雲をはじめとする赤い星雲があまりよく写りません。そこで天体写真用途ではこのフィルターを取り外したり、星雲由来の光だけをカットしないフィルターに交換したりする改造*3がしばしば行われます。この改造を請け負う業者もいくつか存在するのですが、この対象機種がほぼCanon限定。というわけで、仕方なくCanonの一眼を物色することに。

目的は天体撮影に特化していて連写性能だのなんだのは関係ないですし、本体重量は軽いほうが都合がいいので、狙いはEOS Kissシリーズ。特にX5はバリアングル液晶がついているので、望遠鏡に取り付けたときの使い勝手がよさそうです。

というわけで、安いKiss X5の中古を中心に探していたところ、某店で比較的良い状態のものが出ているのを見つけて確保。ボディのみで38325円。新品の最安値より1万円ほど安く手に入れることができました。

マルチプレートほか

昨年末の皆既月食の際、一定時間ごとに月食の進行具合を写真に撮りつつ観望してたんですが、路上から丸見えの駐車場なんていう場所に望遠鏡を展開していたせいか、近所の人が次々集まってきて、結局撮影どころではなくなってしまいました。まぁ、楽しんでもらえたみたいだし、自分もちょっとは役に立ててうれしかったりしたのですけど。

ともあれ、来月の金環日食でも同様の事態が容易に予想されるので対策をすることに。前回は人に望遠鏡を覗かせることが優先されてしまって写真が撮れなかったので、鏡筒を写真撮影用と観望用の2本体制にすれば多分OK。幸い、昔使っていたガイド鏡(口径60mm、f=540mm)が手元にあるので、これを赤道儀に同架することにしました*4。もちろん、同架する以上は天体のガイド撮影も視野に入れているわけですが。

同架するために必要なマルチプレートとガイドマウント、ユニバーサル鏡筒ホルダーは誠報社でセット品が安く出ていたので、ここで購入(ユニバーサル鏡筒ホルダーがちょうど品切れで入手までずいぶん待たされましたが)。また、ガイド鏡の接眼部が昔ながらの36.4mmねじ込み/24.5mmスリーブだったので、36.4mm→31.7mmアダプタと31.7mm天頂プリズムを購入して近代化改修。ついでに望遠鏡の足元を強化するための三角プレートも購入しました。


結果、上の写真のような姿に。とりあえず、これで金環日食への対応は大丈夫でしょう。

ちなみに三角プレートはエニョールさんのサイトでお勧めされているのを見て導入してみましたが、三脚の頼りなさが一掃されて、なるほど効果は絶大。それに、純粋に「物置」としても便利です。

一方、ガイド撮影の場合はこの体制で行くか、メイン鏡筒の上にガイド鏡を載せるいわゆる「親子亀」方式で行くかは思案のしどころ。ともあれ、そのためにはオートガイダーが必須です。超一等の光害地なので長時間露出は現時点では難しく、ノータッチで撮れる範囲で楽しむのも手ですが…光害除去フィルターの使用などを考えると露出時間はやはり稼ぎたいところ。PCレスならセレストロンのNexGuide、PCを持ち出すならStarlightXpressのLodestarあたりが候補になりますが…さて?

*1:弱いながらも乱視があるので、望遠鏡を覗くときでもメガネを外せないのです。

*2:あとはコスプレ用途で使われたりもするようです。まさかそっち方面の用途で買ったとか思われてないだろうな…?

*3:先日、同様のフィルター特性を持つ「EOS 60Da」が発表されましたね。

*4:ちなみにこのガイド鏡、今はなき有名望遠鏡ショップ「アトム」オリジナルのもの。25年ほども前のもので、アクロマートでコーティングも貧弱な安物ですが、最近のものと違って金属部分が多く、作りは意外としっかりしています。