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Huawei MediaPad M5 lite簡易レビュー

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この週末、先日発表されたばかりのHuawei MediaPad M5 liteを購入してみました。これまで使用していたASUS MeMO Pad 8(ME581C)からの買い替えという位置づけです。


AZ-GTiの件があるのでその影響かと思われるかもしれませんが、買い替えの理由として一番大きいのは、単純にMeMO Pad 8自体が古くなってきたこと。OSはAndroid 4.4.2なので、Google Playにて公開されているアプリの大半は動作するはずなのですが、最近のアプリでは不審な動作が見られることがしばしばです。


また、Sky & Telescope電子版の購読に用いているZinioアプリでも、バージョンによっては起動しないといったトラブルが発生しており、さらには動作自体が重いというパフォーマンス上の問題がありました。


一方で、買い替えにあまり金額をかけるつもりもなかったので、持ち運び容易な8インチクラスで比較的安価なMediaPad M5 liteを選択した次第です。


Huaweiアメリカ企業との間で部品等の取引が禁止されるなど米中貿易摩擦の渦中にあり、まさにGoogleHuaweiとの取引停止を発表したばかり。選択に不安がまったくないと言えばウソになりますが、一方でGoogleからは「既存製品については影響ない」とのコメントも出ており、おそらくは大丈夫なのじゃないかと思います。*1


将来的には、最悪Google Playの利用が停止される危険性もなくはないのですが……まぁ、その時はその時ですヾ(@°▽°@)ノ


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さて、MeMO Pad 8との比較ですが、画面サイズはほぼ同じで、解像度も同様です。一方で、本体の上下方向の大きさは小さくなっています。


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充電端子はMicroUSB。上位のMediaPad M5がUSB-Cであるのに対して明確に差があるところです。このあたりはコスト重視ということで割り切るべきところでしょう。


Mediapad M5 liteのOSは最新のAndroid 9.0。従来と作法が異なる点もいくつかありますが、すぐに慣れるレベルです。動作は総じて軽快で、MeMO Pad 8で重く感じたZinioも快適に操作できます。


画面の分割表示も可能なので、にゃあさんがやられているような、SynScanとSkySafariの同時起動というのも現実的です。

tentaip.space


ただし、メディア等ではあまり取り上げられないでしょうけど罠が1つだけ。


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上の写真はMeMO Pad 8およびMediaPad M5 liteの内蔵センサーの有無を調べたものですが、MediaPad M5 liteには各種センサーがほぼ搭載されていないことが分かります。かろうじてあるのは、本体の縦横を検出する機能*2GPSくらい。コスト重視の結果とは思いますが、ジャイロセンサーや方位センサーすらないため、使い方はどうしても制限されます。


私のように、電子書籍を読んだり、外部機器のコントローラーとして使うだけの用途ならあまり問題はありませんが、タブレットの向きと星図とを同調させたり、VR系のコンテンツを楽しんだりはできないので、その点は注意が必要です。


また、上記の通り縦横の検出はとりあえずできるようですが、一部の電子書籍アプリでは、ホーム画面やライブラリ画面が強制的に縦向き表示になってしまいます。書籍の表示自体は縦横の検出にちゃんと追従するので、見開きの表示などに大きな問題はありませんが、やや煩わしいのは確かです。


ともあれ、8インチクラスのアンドロイドタブレットは現在の市場に製品がほとんどないため、手頃な価格で入手できるこの機種が貴重なのは確か。将来的な若干のリスクはありますが、それさえ気にしなければ or 割り切れれば、必ずしも悪い選択肢ではないと思います。

*1:OSのアップデートが見込めなかったとしても、その点はME581C等でも同様。そもそも、既存製品のアップデートを禁止してしまうと世界中の端末でセキュリティホールが顕在化することになってしまうので、おそらくそうした選択は取らないだろうと思います。まぁ、感情的なトランプ政権のことなので、どうなるか不透明なのは確かですが。

*2:一般的な加速度センサーやジャイロセンサーとして検出されないあたり、Huawei独自のなにか特別な仕掛けを使っているのではないかと思います。後述の電子書籍アプリの挙動を見ても、普通のセンサーとは違うようです。

(遅ればせながら)AZ-GTi簡易レビュー

先日、撮影の合間に一般の人に望遠鏡を覗かせたのをきっかけに、改めて自動導入経緯台の必要性が痛感されるようになってきました。普段、自分が使うだけならK型経緯台でも大きな問題はないのですが、他人に見せるとなると自動で追尾してくれた方がなにかと楽です。


で、ちょうど週末になったこの日、ちょっと専門店を見て回ろうかなと思ってたのですが、ふと気づいた次の瞬間……

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……って、最近この展開ばかりですね(^^;


猿芝居は\(・_\)この辺で (/_・)/置いといて まずは開封の儀です。購入したのはSkyWatcherのAZ-GTiマウント+三脚のセット品。運良く(悪く?)シュミットの店頭在庫があったので、K型経緯台との同時展開も考えての購入です。


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外箱を開けると中には5つの段ボールが見えます。このうち2つはスペーサー代わりの空き箱で、残り3つに内容物が入っています。また、代理店による日本語説明書も最上部に。この日本語説明書は、基本的にはSkyWatcherの英語説明書の和訳ですが、英語説明書にはないSynScanアプリについての簡単な説明があるなど、よりとっつきやすくなっているように感じます。

とはいえ、内容は必要最小限で、もし初めて望遠鏡を購入するという人がこれだけを見て、ちゃんと望遠鏡を扱えるようになるかというと、若干無理がありそうな気はします。


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さて、1つ目の小箱にはAZ-GTiマウントの架台本体に、英語説明書およびキヤノンの一部カメラに対応したコントロールケーブルが同梱されています。カメラコントロールケーブルは別売のSynScanハンドコントローラと接続して使うもので、本セットだけでは使えません。底面にある三脚等との接続ネジは3/8インチネジ……いわゆるカメラ用三脚の「太ネジ」です。


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鏡筒の固定はビクセン互換のアリガタ・アリミゾ方式です。ただ、同社のアリミゾにしばしば見られるのですが、固定ネジの反対側がただの「面」になっています。


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本来のアリミゾは、上の写真のように固定ネジの反対側が切り欠きになっており、固定ネジ&反対面のアリミゾ両端の「3点支持」(上写真ピンクの三角形)でアリガタをしっかり固定します。ところが、AZ-GTiのこの構造だと、固定ネジと反対側の面との「2点支持」になってしまうのです。たいして重量のあるものを載せるわけではないはずなので大丈夫だとは思いますが、一応、注意が必要です。


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インターフェイス部分にはハンドコントローラポート、電源ポート、カメラコントロールポート、本体の電源スイッチが並んでいます。自分は今のところハンドコントローラを使う予定はないので、用があるのは電源ポートとスイッチだけになります。なお、電源は外部からのDC12V以外に、本体に単3電池8本をセットすることでも使用が可能です。後者の場合、電池の持ちが実際にどの程度かは分かりませんが、おそらく数時間程度で切れるのではないかと思います。1~2晩で電池がなくなると考えると、せめてeneloopのような充電可能な電池を使いたいところです。情報によれば電池は意外と持つようなので、ここは保留で。

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2つ目の箱にはエクステンションピラー。三脚と架台の間にこれを挟むことで、鏡筒と三脚とが衝突することを防ぎます。この構造なら天頂付近も死角になりません。


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上面のネジが突き出していないので、どうやってマウントと接続するのかと思いましたが、側面3か所のネジを緩めると架頭だけが取り外せる構造になっていて、これを取り外してマウントに取り付けてから、ピラーに戻せばOKという仕組みでした。


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最後に三脚。重量は1.8kgと軽いですが、脚は金属製で意外としっかりした印象です。ステーに付属のプラスチック製トレーを取り付けると、脚の位置関係が固定されてより丈夫になります。


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トレーは、ステー中央の突起とトレーの切込みを合わせたうえで、60度回転させてステー側の爪にかみ合わせて固定します。ただ、新品だからなのかこの固定がかなり固く、付け外しはかなり大変です。それなりの力がかかりますし、ここだけは耐久性的にちょっと不安です。


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組み上げてみるとこんな感じ。全体としてもなかなかしっかりしています。3万円台でこれなのですから、本当に恐れ入ります。


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試しにミニボーグ60EDを載せてみたところ。システム全体に対して鏡筒が小さすぎるように感じられるくらいで、安定感は十二分です。システム高さは三脚の脚を縮めた状態で約100cm、伸ばした状態で約150cmほど。これだけ高さがあれば、天頂付近もあまり無理なく覗けます。

最大搭載可能重量は公称5kgとのことなので、口径125mm(5インチ)くらいのカセグレン系までなら無理なく載せられるでしょう。*1


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その夜、薄雲の中でしたがさっそく月を観望。タブレットにSynScanアプリを入れて操作してみましたが、アライメントや追尾の精度も高く、非常に満足のいく結果でした。システム全体が軽量*2なこともあり、望遠鏡の稼働率が大きく上がりそうな気がします。


ただし、ちょっと気になったのがSynScanアプリの挙動。やや不安定なきらいがあり、GPSで現在位置を取得できなかったり*3、反応に妙なラグがあったり、途中でフリーズっぽくなったり……。


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思い返してみると、Googleストアから同アプリをダウンロードする際、「このアプリはお使いのデバイス用に最適化されません」という表示が出ていました。使っているタブレットASUSのMeMO Pad 8(ME581C)。OSはAndroid 4.4.2で、それなりに古いものです。一応、SynScanやSynScan Proの動作要件は「Android 4.0以上」ということになっていますが、スマホHuawei P20 lite, Android 8.0.0)の方では特に問題なさそうだったのも考えあわせると、どうもこのあたりに原因がありそうな気はします。*4


うぅむ、気を付けないと、新しいタブレットだの追加の筒だのが増えそうな…( ̄▽ ̄;ゞ

*1:ただし、かなりトップヘビーになるので、できれば三脚等の強化はしておいた方がいいでしょう。

*2:マウント+エクステンションピラー+三脚で3.9kg

*3:なので手動で緯度・経度を入力したのですが、経度のデフォルトが「西経」になっていたため、当初、アライメント時に鏡筒が明後日の方向を向いて焦りました。

*4:あるいはMeMO PadのCPUがARM系ではなくIntelAtom Z3560であることも関係してたりとか……いや、仕組的にこれはないか。

祝・星ナビ掲載!

なんと嬉しいことに!


ついに今月号の星ナビに!!

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掲載されました!!!

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……って、写真入選とかじゃないのですけど(^^;


以前書いた、光害カットフィルターに関しての記事についてですね。

hpn.hatenablog.com
hpn.hatenablog.com


言及されていたのは、「都会の空で星雲を撮る」という、根本泰人氏の記事の中でのこと。根本さん、本当にありがとうございます。


根本さんといえば、皆さんご存知のように、光害の中でDSOを捉えるスペシャリストの1人。末席とはいえ同じ方向性を目指す者として、勝手にシンパシーを抱いていました(^^; 根本さんも記事中で書かれていますが、光害の激しい街なかでも、被写体&撮り方によっては暗い遠征地にも引けを取らないような写真を撮ることは可能。諸般の事情で「遠征なんてできない!」という方も、諦めずに取り組んでもらえればと思います。


ちなみにですが……

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天文雑誌に掲載されるのは約30年以上ぶり。前回は天ガの「読者サロン」に投書が載ったものです*1*2。当時はたしか高1でしたが、S&T誌からの翻訳記事について、翻訳の質のあまりの低さに苦言を呈した内容でした*3厨二病全開のイキったクソガキが結構ボロクソに書いたので、あれはあれで、よくもまぁ編集部も掲載したと思ったもんです(^^;

*1:やっぱり写真じゃない(笑)

*2:見返してみたら本名のみならず、なんと投稿者の住所まで掲載されてました。当時のこと、おそらく文通の橋渡し的なものを期待してたんでしょうけど……おおらかな時代だ。

*3:光軸調整についての記事でしたが、中学生の方がなんぼかマシというレベルのガチガチの直訳体でそれはもう酷いもの。ちなみに同特集の第2回目はきれいな訳文になってたので、一応投書の甲斐はあったようです(^^;