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SD60SS発表

先日からティザー広告が出ていたビクセンの新製品が、7日夕方、ついに発表になりました。

camp-fire.jp


製品名は予想通り「SD60SS」。まずはクラウドファンディングを利用した数量限定での販売という形になります。今まであまり見なかったやり方ですが、話題も作れるし、市場調査的なこともやりやすいので、特にこういう狭い業界だと、メーカーとしてはそれなりに便利なんじゃないかという気がします。


スペックは「口径60mm、焦点距離300mm」と予想しましたが、「口径60mm、焦点距離360mm」のF6と、無理せず案外保守的な方向に。光学系はFPL53を使った2枚玉のオーソドックスな設計ですし、これなら精度も出しやすく、製造しやすそうです。


鏡筒バンドは、バンド上部にちゃんとM4と3/8インチのネジ穴が。メーカーとしてはファインダー台座の取り付けなどを想定しているようです。また、下側には1/4インチと3/8インチのネジ穴が用意されていて、カメラ三脚への取付もできるようになっています。


アリガタは予想通り、アルカスイス規格とビクセン規格の2階建て。しかもWilliam Opticsのものと違って、アリガタを裏返して使い分ける必要がないため、使い勝手はかなりよさそうです。これは大いに歓迎で、応用範囲がぐっと広がります。いっそアリガタは全部これにしてしまえばいいのに……。


気になるフォーカサーは、いい方向に予想が外れてくれました。微動装置装備のラック&ピニオン式です。もちろん、実物のデキ次第のところはあるのですが、操作性などに一定以上の期待はできそうです。


フードは伸縮式で、カメラバッグなどにかなりコンパクトに収納できそうです。


補正光学系など


補正光学系としては、フラットナーとレデューサーを用意。フラットナーはおそらく焦点距離は変わらず、レデューサーの方は0.8倍に焦点距離が短縮されます。


サイトに作例が載っていますが、これを見ると、フラットナー使用時は35mmフルサイズの周辺で星像が円周方向に流れていますが、APS-Cの範囲ではほぼ気にならないレベル。一方、レデューサー使用時はAPS-Cでの作例しかありませんが、こちらも像の崩れは小さめです。フラットナー/レデューサーの鏡胴はやや細めな感じがするので周辺光量などにやや不安が残りますが、少なくともAPS-Cくらいまでなら結構快適に使えそうな気がします。


また、これらの補正光学系が付属する「撮影セット」には回転装置も付属します。回転装置や補正レンズにフィルターが付けられるかどうかがハッキリしないのは気になりますが、おそらくφ48mmあたりのフィルターはどこかに付けられるのではないでしょうか?


価格


気になる価格ですが、今回は「超超早割」ということで、かなり破格の値付けがされています。

  • 鏡筒単体(5台限定):46000円(77000円から40%オフ)
  • 撮影セット(10台限定*1):69000円(115500円から40%オフ)
  • モバイルポルタ-SD60SS(10台限定):74000円(124300円から40%オフ)

これがどのくらい安いかですが、例えばスペックが近いSharpstar 61EDPHII(口径61mm、焦点距離355mm(F5.5) ただしこちらは3枚玉)が64680円、専用レデューサーが27500円、フラットナーが26400円ですから、鏡筒単体、撮影セットともにかなり安いのが分かります。特に撮影セットについては、定価であっても十分に競争力のある値付けです。いい意味で「中華鏡筒そのまま」ですし、国内でしっかり検品してくれることも考えると、かなりお買い得。今回はビクセン、ずいぶん頑張ったなぁという印象です。


そのせいもあってか、撮影セットについては瞬殺状態で、告知後1時間程度で完売という凄まじさ。鏡筒単体やモバイルポルタとのセットが売れ残ってるあたり、メーカーの方も需要の傾向が見えたのではないでしょうか?


あとはこの結果を、何らかの形でビクセン本体の製品ラインナップに反映させていってくれればいいのですが……。

*1:「10台限定」と銘打たれていますが、なぜか8人が申し込んだところで品切れ状態になっています。「10台限定」というのが間違いだったのかも?