PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

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PHD2マニュアル更新(v2.6.5対応)

大変遅くなりましたが、PHD2の日本語マニュアルをv2.6.5対応のものに更新しました。

ダウンロードはこちらから。(PDF形式)


今バージョンの最大の変更点は、極軸設定機能が付け加わったこと。従来からある「ドリフトアライメントツール」に加え、極付近の星図赤道儀動作時の基準星の動きを照らし合わせて極軸の向きを合わせこむ「スタティックポーラーアライメントツール」*1、極付近でドリフトアライメントを行うことで簡便に極軸を合わせる「ポーラードリフトアライメントツール」の計3つの方法が備わっています。いよいよもって伝統的な極軸望遠鏡がいらなくなりそうな勢いです。

*1:動作原理としてはPoleMasterにやや近いです。

シュミットのセールに出撃

秋葉原に行くたびにちょいちょい立ち寄らせてもらっている天文ショップ「シュミット」さんですが、皆様ご存知の通り、11月に西落合へ移転とのこと。これに合わせて本日から「在庫品・展示品一掃セール」をやるとのことでしたので、入っていた仕事を早々に切り上げて覗いてきました。

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店についたのは開店20分前の12時40分ごろでしたが、なんとこの時点ですでに店の前に行列ができています。「ひょっとすると2~3人はいるかも?」と思ってはいたのですが想像以上です。

その後も列は伸び続け……最終的には20人近くいたでしょうか?普段人気(ひとけ)があまりないところなので、通行人が次々と振り返っていきます。なかなか人目が痛いです(^^;


などと思っていると……

なんと、Twitterでしばしばやり取りさせていただいている「時々フォトグラファー」のAraMisさんが、偶然にも列に並んでいることが判明!後には「反赤を使いこなせ!」のminerさんも加わって、ひとしきり天文談議に花が咲きました。たぶん、同じ店内には他にも有名な人たちがいたんだと思いますが、こういう思いもかけない出会いがあるあたり、リアルの催しはなかなか楽しいです。


さてセールの方ですが、開店直後はとにかく人が多すぎて年末のアメ横もかくやという様相。比喩でなしに店内で身動きが一切とれないほどで、あそこまで混んでいる天文ショップというのはちょっと記憶にありません。シュミットさんのブログにさっそく写真が載っています*1が、アレはだいぶ人出が落ち着いてからの写真で、開店直後はあんなもんではありませんでした。かつての誠報社のセールの方がまだなんぼかマシだったような…(^^;


店内では、展示品を中心に様々な商品に破格の値札が付いていました。CelestronやSkyWatcherの製品は軒並み2割引きで、望遠鏡などの展示品はさらに大幅値引き。EQ8 GOTOは30万円くらいの値札が付いていましたが、開店直後にあっという間に売れていきました。EdgeHD800も10万円切り。11インチのRowe-Ackermann Schmidt Astrographに至っては10万円の値札が付いていて本当に驚きでしたが、こちらは自分がいた間にはまだ売れ残っていました。見合う赤道儀を持っていたら、手を出していた可能性も大きそうです(^^;

大物は予想以上のペースではけた感じですが、まだまだ値引き品は残っていると思うので来週いっぱいはチャンスです。

戦利品

で、私も大物とはいきませんが、ちょっとした小物を購入。

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SkyWatcherの9×50正立ファインダーです。普段の売価が8964円のところ、二割引きの7171円で入手できました。EdgeHD800で天頂方向を狙う際、ファインダーを覗くのがツラかったので以前から欲しかったのです。


CelestronもSkyWatcherも「中身」は中国のSYNTA社ですから、おそらくファインダーの寸法等は同一の可能性が高いです。うまくいけば、EdgeHD800に備え付けられたファインダー脚にそのまま取り付けられるのではないかと期待したのですが……

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やっぱりというか案の定というか、プリズムで光路が折れ曲がる分、鏡筒の長さが足りずに交換不可でした。SkyWatcherのファインダー脚を留めるために、なにか適当なアリミゾを見繕わないといけませんね。それこそNorthernCrossのアリミゾを付けるのも手ですが……さて?

*1:私(入り口近くの白シャツ)とAraMisさん(赤いジャケット)、minerさん(チェック柄のシャツ)も写ってたりします。

都心で撮った天体を振り返ってみる

天気が悪いですね。今週末も、せっかくの新月期&三連休だというのに台風が来ていて、あまり期待できない感じ。過去写真の再処理のネタもないので、東京都心からいままでどんな天体を撮ってきたのか、改めてまとめてみました(除 太陽系天体)。


振り返ってみると、中学生のころ以来の望遠鏡を買って天文趣味に復帰したのが2011年の8月で、早くも7年前のこと。オートガイダーを買ってから数えても、2012年の5月以来なので6年以上たちます。これでどれだけ撮れたのか……。

hpn.hatenablog.com
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まずはメシエ天体から。

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全110天体中49個が撮影済みです*1。意外とよく撮ったような、案外それほどでもないような……。

メシエ天体の内訳と撮ったものを比べてみると、

となっています。星雲系は全部押さえていて、系外銀河も過半数は撮っていますが、散開星団球状星団は目立って少ないです。散開星団は写真にした時の見栄えが悪いこと、球状星団はどれも同じように見えてしまうこと*2、といったあたりが影響しているのかと思います。


次にカルドウェル天体。カルドウェルカタログは、アマチュア天文家が観測しやすい天体をまとめたものとして、Sir Patrick Caldwell-Mooreが1995年にSky & Telescope誌で発表したものです。同カタログには全部で109個の天体が収録されていますが、このうち日本本土から見られるのは80個ほどです。

そこでC1~C80までを一覧表にしてみた結果がこちら。

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数にして18個。1/4にも届いておらず、まだまだといった感じです。

こうしてみると、愛称がついたものを多く撮っていることが分かります。愛称がついたものは、明るいものや形の面白いものが多く、被写体として映えるからでしょう。

一方、C60以降の南天の天体は全く撮っていません。高度が低くて、光害の酷い都心からではそもそも難しいことに加え、今の撮影場所のすぐ南側に強烈なLED街灯が陣取っているのが痛いです。あれをどうにかしないことには、南天低い天体は難しいと思います。


最後は、それ以外のもの9個。

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NGCやICのうち、比較的大きかったり明るかったりするものばかりですね。一応、メイン以外で写っているようなものは除外してあります(おとめ座銀河団とかキリがないので)。こう並べて見ると、見事に「赤いの」ばかりですね(^^; よい子は無理せず、Hαのナローバンドで狙いましょう(笑)


というわけで、7年でトータル76個。まさに、多いような少ないような……ですね。東京都心で撮っている関係上、たっぷりと露出が必要で、一晩にいくつもの天体をモノにするのはほとんど不可能。一晩で1天体というのもザラですから、数としてはこんなものでしょうか。単純計算だとメシエ天体を制覇するだけでもまだあと5~6年はかかる計算です。

もっとも、目標を立ててシャカリキになって撮るより、「好きなものを好きなように撮る」のが好きなので、メシエ天体制覇の日は来なさそうな気もしますが……( ̄▽ ̄;ゞ

*1:ただしM41はおおいぬ座を固定撮影で撮った時に写っていたもの

*2:系外銀河も、残っているのはもっぱら楕円銀河ばかりなので同根かも。