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Askar FRA300 proレビュー(星像編)

「Askar FRA300 proレビュー(フラット編)」の続きです。
hpn.hatenablog.com


昨夜、久々にきれいに晴れたので、自宅玄関先でFRA300 proの星像テストを行いました。


一応、メーカー公表のスポットダイアグラムはこちら。



撮像素子がAPS-Cなら、右上「13.914 mm」のところが最外周に当たります(35mm判フルサイズなら右下の「22.005 mm」)。


ダイアグラムは上の方が「外」なので、これを見ると外周に向かって赤い色ズレが発生することが予想されます。また、標準鑑賞距離*1から算出される許容ボケ直径はAPS-Cサイズの場合約18μm*2。このダイアグラムの1マスが一辺20μmなので、ここからすると少なくともAPS-Cの範囲内なら、星の形はあまり大きくは崩れないだろうとも予想されます。


テストですが、追尾誤差の影響を極力抑えるため、Gainを上げて露出時間をなるべく短くしています。今回はGain=400、露出10秒のワンショットとしました。また、カメラの保護ウィンドウを「IRカットフィルター」から「反射防止ガラス」に変更してしまっているため、LPS-D1を併用しています。結果はこちら。(下側の写真は、リンク先にて「オリジナルサイズを表示」をクリックすると、大きな画像が開きます)



都会の悲しさ、比較的星数の多いかみのけ座付近(Mel 111)を狙ったにもかかわらず写っている星が少ないですが、周辺までほぼ点像を保っているのが分かります。また、よく見ると外周に向かって赤い色ズレが見られますが、これは公表されているスポットダイアグラムと同様の結果です。総じて「pro」の名に恥じない、素晴らしい結果と言っていいと思います。


ただ、今回撮影した画像を強調してみると……



先日のフラット画像の場合と同じく、中央が日の丸状に明るくなっているのが分かります。


おそらくは光害で照らされた夜空が光源となり、望遠鏡~カメラ間ないし望遠鏡内で何らかの反射が発生しているもの*3かと思いますが、空の暗いところならあまり問題ないだろうものの、都心のように空が明るいと致命的な問題になりかねません。



試しに、先日撮影したフラット画像を用いて丁寧に補正を行ったところ、おおむね平坦になった*4のでなんとかなりそうではありますが……今回はなにしろ対象がノイズだらけのワンショットですし、実際のところどこまできっちり補正できるかは分かりません。このタイプの配光パターンは補正が難しいことが多いので、作品作りに支障がないといいのですが……。

*1:鑑賞対象を見込んだ角度が35度になるような距離で、A4判プリント(210mm×297mm)の場合、対角線長の約1.59倍すなわち約58cm

*2:鑑賞者の視力を仮に0.7とすると、約58cm離れたところから約0.24mm離れたものをギリギリ識別できる。センサーサイズをASI2600MC Proと同じ23.5mm×15.7mmとした場合、A4判にプリントするということは約13倍に拡大していることになり、上記のプリント上の0.24mmはセンサー上の約18μmに相当する。

*3:目下、最も怪しいと睨んでいるのは後端のレンズ~カメラ(含 フィルター)間の反射。構成図を見ると分かりますが、後端レンズのカメラ側の曲面がほぼ平坦なので反射光が散らず、影響はそれなりに出そうな気がします。思えば、手放したEF70-200mm F4L USMも同じパターンでした……。

*4:赤がちょっと補正不足気味かな……?