前回の新月期は、異例の早さの梅雨明け直後でよく晴れたのですが、その後は戻り梅雨。しかし、今月の新月期は「第二の梅雨明け」といった雰囲気で、これまたよく晴れました。
特に昨日の昼間は、水蒸気が多い白っぽい空ではなく、文字通りの青空!この天気が夜まで続けば万々歳だったのですが……夕方ごろから北の空に雲が湧き始め、そのうち全天が薄雲まみれに。半ば諦めかけていたのですが、夜半前になるとようやく雲が取れてスッキリした空になったので、急遽いつもの公園に出撃してきました。
この日の狙いは北アメリカ星雲。過去、何度かデジカメで撮影したものの、写りがもうひとつだったので冷却カメラ+デュアルナローバンドフィルターでリベンジを、というところ。
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本当は夜いっぱいを使ってたっぷり露出を与える計画でしたが、天気ばかりは仕方ありません。不足分は別の日に追加すればいいでしょう。
ところが、いざ撮影を始めようとするとデネブ~ベガ方面にかけてうろこ雲が居座ってしまい、一向に動く気配がありません。他の方面は雲一つなくスカッと晴れているのに……。*1
結局、まともに撮影を始められたのは1時45分ごろから。この日の天文薄明開始は3時8分なので撮影可能時間は1時間ちょっとしかありませんが、足りない分は後日撮り直すとして、少しでもフレームを稼いでおきましょう。
ところが、2時半ごろには再び北西方面から雲が広がってきました。しかも今度のはかなり厚いです。雲はあっという間に全天を覆ってしまい、撮影は強制終了となりました。
ひまわりからの衛星画像(7月30日0時~3時)を見てみると、一晩中細かい雲がちょこちょこ湧いていた上、最後には秩父方面で発生した雲が流れ込んできたようです。
結局、撮影できたのは正味およそ40分ほど。こんなのでモノになるのでしょうか……?
唯一の救いは、この夜の空の条件が良かったこと。先日試した「StellaScan 2x40 Mono」で空を眺めていたのですが、カシオペヤ座のW字の一番暗い星、ε星セギン(3.4等)は余裕を持って見え、ケフェウス座の主要な星々もほぼ全て見ることができました。北の空は渋谷、新宿方面からの光害がきついので、ケフェウスの五角形が見えただけでも驚きです。
この夜は、StellaScanごしに4.2等が見えていたのは確実。SQMに換算すると17等前後だったと思われ、先日のSQM測定時に比べると約1等も暗い計算です。これでなんとか救われてくれるといいのですが……。
リザルト
というわけで、結果です。
撮って出しの画像はこんな感じ。
例によって、一見何も写っていないように見えますが、軽く強調すると……
わずか10分露出の1コマとはいえ、星雲の形がハッキリと浮き出ています。さすがは冷却カメラ+デュアルナローバンドフィルターといったところでしょうか。
ただ、今回はこれが4枚しかありませんので、あまり無茶な強調はできません。標準的な手法で軽く強調して出てきた結果がこちら。
2022年7月30日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
ZWO ASI2600MC Pro, 0℃, Gain150, 600秒×4, IDAS NebukaBooster NB1フィルター使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.9.0kほかで画像処理
東京都心かつトータルの露出時間が40分しかなかった割には、よく写っているような気がします。空が比較的暗かったのと、カメラの性能に助けられた形でしょうか。
ただ、露出の少なさはいかんともしがたく、以前処理させていただいたMasa'sAstroPhotographyさん(@MasaAstroPhoto)の写真ほどの処理の余裕はありません。できれば追加露出をしたいところ。
とはいえ、ある程度写っているのも事実で、志の低い自分としては「ひとまずは、もうこれでいいかな」という気もしています。さてさて、どうしたものやら……(^^;