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ASI120MMの動作の謎

と、ここまでなら美しい結果なのですが、ASI120MMで同じ実験をやると、少々おかしなことになります。*1



この表はASI120MMで同様の実験を行った結果ですが、ASI290MMの場合と明らかな違いが見られます。

それはHSの挙動で、16bit ONの場合も有効に働いているようです。しかも、ASI120MMの仕様を見ると、ADCは12bitしかなく、この場合の320px×240pxのフレームレートは215fps。これはHSをONにしたときのフレームレートとほぼ一致します。

つまり、ASI120MMの場合、HSをONにしないと本来の性能が出ないということになります。HSがOFFの場合の挙動は明らかに異常で、現時点で原因はハッキリしないものの、この設定は使わない方がいいでしょう。



謎はまだあります。取り込みサイズを最大の1280px×960pxとして同様の実験を行った結果が上の表ですが、今度は16bit ON時のHS ONの効果が見えていません。しかも16bit ON時と16bit OFF時のフレームレートの差が大きすぎます。

カメラ-PC間の転送速度は12bit ADC, 1280px×960pxで35fpsという仕様。USB2.0のデータ転送速度の上限60MB/sと同じ数字で、これは不変です。このデータを受けて動画ファイルとして書き込むのはキャプチャソフトの仕事ですが、今回の場合、PC内部の帯域は十分余裕があるので、16bitで記録したからといって速度がこれほど低下するのはおかしいと言わざるをえません。

調べてみると、同様の結果は1280px×960pxまで達しなくても、320px×240pxより大きな範囲を取り込もうとしただけでも発生する傾向がある模様。総じてどうにも動きが怪しげで、ファームウェアかドライバかキャプチャソフトか……いずれかのバグを疑いたいところです。


少なくともFireCaptureでASI120MMを用いる場合、現時点では

といった手段で自衛するしかなさそうです。

*1:以前、FireCapture2.5+ASI120でフレームレートが上がらない件について書きました(http://d.hatena.ne.jp/hp2/20170713/1499957356)が、まさにこれと関係する話です。