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「SDレデューサーHDキット」レビュー その2 星像テスト

先にファーストインプレッションとして、外観と周辺減光を中心にビクセン「SDレデューサーHDキット」の簡易レビューをお届けしました。なかなか期待を持たせる結果でしたが、この時点では星像の確認ができていませんでしたので、最終判断は保留となっていました。

今回、うまく晴れ間に出会えたので「SDフラットナーHD」と「レデューサーHD」について簡単に星像テストを行ってみました。

使用した鏡筒はED103S、カメラはEOS KissX5、カメラアダプターは「直焦ワイドアダプター60DX EOS用」と、ハードウェアは前回と同様です。

撮影条件は、感度ISO1600、露出30秒の1枚撮りで、ダーク補正、フラット補正等は行っていません。撮った画像の中央および四隅の480ピクセル四方を切り出して表示しています。なお、画像をクリックするとオリジナルサイズの画像が見られます。


まず「SDフラットナーHD」について見てみます。



写野周辺部まで、星像はほぼきれいな点像を保っています。ED103Sで補正レンズなしでの直焦点撮影を行った場合、二枚玉アポクロマートの宿命で、残存する像面湾曲や非点収差によって視野周辺部の星像は周辺方向に伸びてボケる*1のですが、これがきれいに補正されています。

周辺減光の少なさ、F値の増加量の小ささを考えると、撮影用として積極的に常用してよいと思います。


次に「レデューサーHD」の星像です。



こちらも、写野周辺部まで乱れの少ない星像。従来品の「レデューサーED(F7.7用)」では千鳥紋状に星像が崩れ*2、大変見苦しいものでしたが劇的な改善です。

厳しく見れば、周辺部において星像の内側に青、外側に赤が見える形でわずかに「色ずれ」が見える(倍率色収差?)のですが、この程度なら個人的には許容範囲内です。

結論

前回の結果も踏まえると、少なくともAPS-C以下のフォーマットを使用しているユーザーにはほぼ手放しでお勧めできます。性能を考えれば価格も大変リーズナブルで、「ビクセンもやればできるじゃないか!」というのが率直な感想です。

35mm判フルサイズでの評価については、手元に機材がないために言及できませんが、ここまでの検証では「宣伝文句に偽りなし」という印象なので、十分に期待できます。ただしこの場合、鏡筒が従来品であるならドローチューブの改修が必須です。


しかし、せっかく写真性能が上がってきているだけに、鏡筒の対物レンズにおける錫箔のでっぱりだけが本当に残念。上の作例でも、錫箔による回折で輝星に「ひげ」が生えてしまっており、見苦しい感があるのは否めません。今年のCP+のレポートでも書きましたが、課題として認識はされているようなので、一刻も早い改良が望まれます。