PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

今シーズン初土星

さすがは梅雨と言うべきか、天気が悪くて6月頭以降、望遠鏡を出すことすらできない状況でしたが、金曜夜は久しぶりの晴天。ただ、月齢が13と大きかったので、月明かりに邪魔されない土星を狙うことにしました。衝を迎えたのは半月以上前の6月15日ですが、まだまだ見頃です。


今回は、昨年購入したものの使いこなすに至らなかったZWOpticalのADC(Atmospheric Dispersion Corrector, 大気分散補正用可変ウェッジプリズム)を光学系に組み込んでいます。組み合わせは、EdgeHD800の接眼部以降、以下の通りです(【】内はボーグのパーツNo.)。


【7424】シュミカセ→M57/60AD〜【7601】M57/60延長筒SS〜【7505】2インチホルダーM〜【7396】50.8→31.7ADII(+Meade 3x TeleXtender)〜【7604】M57/60延長筒L〜【6010】ミニボーグ鏡筒DX-S〜【7352】M57回転装置DX〜【7522】M57→M36.4AD〜ADC〜【7522】M57→M36.4AD(逆向き)〜【7459】M57→M57ADIII〜【7602】M57/60延長筒S〜【7506】2インチホルダーSS〜フリップミラー〜ASI120MM/MC


ウェッジプリズムをカメラに近い側に入れたのが昨年からの改善点。昨年はプリズムで生じる非点収差を恐れて、補正量が極小で済むようにカメラから離れた位置にプリズムを入れていたのですが、逆に補正量が小さすぎて操作が非常に困難でした。


これに加えて、FireCapture v2.5から搭載されている"ADC tuning"*1を利用することで、大気差を補正します。

ただ、機能自体はうまく働くものの、v2.5ではカラー、モノクロ、キャプチャサイズ問わず、なぜかフレームレートが15fps以上に上がらなかったことから、v2.5でADCのセッティングを行った後は、v2.4で撮影を行っています。何かのバグなのか、それとも設定がどこかおかしいのか……?

FireCaptureのサイトを見ると、v2.6betaが出てるようなので、次はこちらで試してみようかと思います。


今シーズンの土星は南中時でも高度が30度ほどしかなく、シーイング的には不利です。実際、この夜も土星全体がグニャグニャと波打っているありさま。これで果たしてどこまで写るか……。



2017年7月7日23時43分6秒(日本時間)
セレストロンEdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm) SXP赤道儀
L画像:ZWO ASI120MM, 30ms, 2650フレームをスタック
RGB画像:ZWO ASI120MC, 40ms, 2250フレームをスタック

しかし結論から言えば心配無用でした。Autostakkert!3でスタッキングしてみると、シーイングの影響はほぼ感じられません。ADCもちゃんと効果が出ているようです。

土星木星と同様、自転が速くて撮影に長時間かけるのはあまり推奨されないのですが、土星は目立つ模様が少なめということもあり、今回はカラー、モノクロともに各々2分ほどの撮影時間を取っています。この撮影結果を見る限り、この程度であれば特に影響はなさそうです。


しかし、土星を撮るとカラーカメラの感度の低さが足を引っ張るのがハッキリ分かります。新しいカメラ欲しい……orz

*1:G画像に対する、R画像とB画像のズレを可視化することで、可変ウェッジプリズムの調整をやりやすくする機能