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ビクセンの新製品

昨日は体調が悪くてダウンしていたため気づくのが遅れたのですが、6月7日付でビクセンから新製品の発表がありました。今年のCP+で発表のあった「SDレデューサーHDキット」と、これら新補正レンズに対応した「SDシリーズ鏡筒」です。

SDレデューサーHDキット

https://www.vixen.co.jp/cnts/corporate/info/170607a-2.html

SDレデューサーHDキットは、SD鏡筒用レデューサー、同フラットナー、AX103S・VC200L鏡筒用レデューサーの三役をこなすレンズキットです。内容物は、1群2枚のレンズからなるフラットナーと2群2枚のレデューサーおよび延長チューブ、スペーサーとなります。フラットナーとレデューサーについては、単体での販売も用意されています*1

フラットナーは単体で使用可能で倍率1.02倍。これにレデューサーを組み合わせると倍率0.79倍の「SD鏡筒用レデューサー」となります。AX103SとVC200Lについては、光学系に元々フラットナーが組み込まれているのでレデューサーのみの使用でよく、この時の倍率は0.77倍となります。

レデューサーについては、VC200Lを除きイメージサークルの直径44mm、周辺光量60%以上を確保しています*2。従来品(レデューサーED:0.67倍、レデューサー2 VC200L:0.71倍、レデューサー AX103S(APS-C用):0.7倍)からは縮小率が減少していますが、イメージサークルが広がっていることを考えれば無理のないところかと思います。

スポットダイヤグラムを見る限り、性能は従来品よりずっと良く、これで56000円はバーゲン価格だと思います。


ただ、要注意なのは、現時点ではED103S、ED115S鏡筒が対応外になっていること。【2017.6.13追記】文面に修正が入ったようで、6/13現在、ED103SとED115SについてはAPS-Cまで対応していること、フルサイズでは周辺減光がやや目立つことが記載されています。後述しますが、おそらくドローチューブ内の絞りの配置が最適化されていないためだろうと思います。

今年のCP+で社長に伺った限りでは、ドローチューブの交換サービスのようなものを想定しているそうなので、これらの鏡筒のオーナーは慌てて鏡筒を買い替えたりせず、もう少し様子を見た方がいいでしょう。なお、CP+のときの話では、そのまま使った場合でもAPS-Cまでなら影響はほとんどないそうなので、フルサイズ機を使う予定がないのであればドローチューブの交換等を行わずともメリットを享受できると思います。

【2017.6.16追記
「SDレデューサーHDキット」購入者を対象にした、デジタル対応SD改造サービスキャンペーンが発表になりました。
https://www.vixen.co.jp/cnts/corporate/info/170615a.html

ドローチューブの改造が3500円、オーバーホールを同時に申し込んでも1万円以下と、かなりの「お手頃価格」に設定されています。この程度の価格であれば、今現在フルサイズ機を使っていなかったとしても、サービスに出すのは十分アリだと思います。

SDシリーズ鏡筒

https://www.vixen.co.jp/cnts/corporate/info/170607a.html

上記の新補正レンズに対応した鏡筒で、フルサイズ機でも周辺光量が確保できるよう、ドローチューブ内の絞り配置を最適化したのが主な改良点となります。しかし逆に言うと改良点はそこだけで、CP+で展示されてた試作品のままなら、しばしば問題視される光路上の錫箔のでっぱりはそのままということになります。。

この問題については「要改良点」として認識はされているようですが、写真性能向上を謳っておきながらここが改善されていないとすれば非常に残念です。製造・検査工程の全面的な見直しにつながりかねないところなので色々と難しいのだろうとは思いますが、以前から指摘されている明らかな「泣き所」なので、改良の方向性を見せてほしいところです*3

*1:単体の場合、レデューサーはAX103S・VC200L用としての適用のみ

*2:ここで言う「イメージサークル」は良像範囲かつ光量60%以上の円で、VC200Lの場合、直径36mmとなります。良像範囲だけなら直径44mmですが、周辺光量は47%まで低下します。

*3:とはいえ、こうして新シリーズを出してしまったばかりなので、少なくともあと数年はこのままだろうとは思いますが。