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最大光輝直後の金星

17日に最大光輝*1を迎えたばかりの金星。それから2日ほど経ちましたが、明るさはほとんど変わっていませんので、きれいに晴れた19日、白昼の撮影を行ってみました。


【注意!】
日中の撮影は、太陽に十分注意が必要です。何の対策もないまま、万が一、望遠鏡が太陽の方を向くと、機材の破損や火災、失明の危険性があります。撮影を試みる場合は、目標を導入したとき以外、望遠鏡のキャップを外さないなど、細心の注意を払ってください。


普段の惑星の撮影ならEdgeHD800を持ち出すのですが、日中はそもそも気流が悪く、また太陽に暖められて筒内気流が盛大に発生しそうなこと、金星の場合、普通の撮影方法では模様などほとんど見えないことを考え、鏡筒はED103Sを選択しました。これに接眼レンズ(NLV10mm)をつけ、「拡大撮影アダプター」を介してASI120MCを接続します。ASI120MCにはM42(P=0.75)のネジ(いわゆるT2規格)が切られているので、「拡大撮影アダプター」のTリング取り付け部に直接ねじ込めます。



2017年2月19日14時20分59秒(日本時間)
ビクセン ED103S+NLV10mm(D103mm, f3180mm) SXP赤道儀
ZWO ASI120MC, 10ms, 900フレームをスタック

さすがは日中。輪郭が崩れるほどの悪シーイングでしたが、なんとか三日月型の姿を捉えることができました。鏡筒に直射日光が当たらないような場所で撮ればもう少しマシだったかもしれませんが、家の立地的にこの場所でしか撮れませんでした。道路に出れば日陰の場所はあったものの、交通量を考えると……。ちなみに撮影時のシーイングはこんな感じ。



撮っておいていうのもなんですが、よくもまぁ、こんな状態から復元できるものです。

なお、写真は伝統的な惑星写真の流儀に従い、南を上にしています。ただ、このあたりは観測者によっても混乱があるようで、特に内惑星の場合は、太陽との位置関係を考えたときに不自然にならないよう北を上にする場合も多いようです。現在は国内外、撮影者の公私問わず混在している状況で、いずれどちらかに収束していくにしても、かなりの時間がかかりそうです。


金星が三日月型のときに最大光輝になるのは、輝いている部分の割合と金星-地球間の距離の関係。一見、欠け方が大きいので暗くなりそうに思いますが、その分、地球に近づいているので結果として明るく見えているのです。金星はこの後、欠け方がさらに大きくなるとともに地球に近づき、また見かけ上、太陽にどんどん近づいていきます。夕方の空に見えるのもあと1か月ほどです。


ついでに、上の写真だとあまり「昼間感」が出ないので、接眼レンズに手でコンデジPowerShot S120)を押し当てての「即席コリメート」でもパチリ。



臨場感としては、やはりこちらの方が上でしょうか。

*1:最近は「最大光度」という場合も多いようですが、個人的には「最大光輝」の方がしっくりきます。「光度」はあくまでも明るさのことであって、最大光度を記録する現象としては「最大光輝」の方がふさわしいのではないかと。ちなみに「最大光度 金星」でググると84600件、「最大光輝 金星」だと218000件です。