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秋の渦巻き

11月3日の文化の日。晴れの特異日と言われるだけのことはあって、東京は朝から雲一つない快晴。この週末は天気がイマイチとの予報だったので、翌日が平日なのを気にしつつ、いつもの公園へ出撃しました。

この日持ち出したのはED103S。EdgeHD800やミニボーグ60EDを買ってからというもの、写真鏡として使うには焦点距離、明るさが中途半端なこの鏡筒はなかなか出番がなかったのですが、久々の復活です。調べてみると、ちょうど1年前に太陽面の撮影をして以来。気を付けないとレンズにカビが生えそうだ……orz

狙いはさんかく座のM33。銀河としては「アンドロメダ大星雲」ことM31に次いで大きく明るいものですが、M31と比べると全体的に淡いので、光害の激しい都心でどこまで写るか心配なところです。しかも公園の利用時間制限の関係で深夜を待つことはできず、さらに宵のうちは天体の位置がやや北寄りなので新宿、渋谷などからの光害の影響をモロに受けるという最悪の状況。

実際、試し撮りをしてみると、レデューサーを付けたF5.2の状態でISO6400, 20秒(LPS-P2-FF使用)でバックグラウンドが完全に白飛びしてしまいます。そこで、感度、露出を控えめにして多数枚を撮影しコンポジットする方向に。特に感度については、むやみに高くしてもダイナミックレンジが狭まってかえってレタッチ耐性が下がる傾向を感じているので抑えめにします。



2015年11月3日 ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO800, 露出120秒×48コマ
ミニボーグ60ED(D60mm, f350mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1dで画像処理、一部トリミング

撮影後の生画像を見ると、どこに写っているのか一見分からないほど淡く、果たしてここからあぶりだせるだろうかと心配しましたが、なんとか雰囲気だけは出せたでしょうか。天頂付近でギリギリ「秋の四辺形」が見えるかどうかという環境では、さすがに淡い腕の先端まで表現するのは無理ですが、そもそも写るかどうか自体怪しかったので、まずその点はクリアできました。これ以上となると、露出時間を飽和ギリギリまでさらに攻めつつ、撮影コマ数を増やして総露出時間を稼ぐしかありません。労力に見合うかどうかビミョーなところです。

NGC604やNGC595など、腕の中に点在するHα領域も写っていますが、これを赤く表現しようとすると色収差に伴う「赤ハロ」まで強調されてしまうので今回は断念しました。ちゃんと色を出すには、やはり冷却CCDでの三色分解撮影が必要でしょうか。