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小物狙い

本格的に秋になってきて、晴れの日も増えてきました。この土曜日も東京はきれいな秋晴れ。宵のうちは月明かりもなく、加えて風も穏やかだったので長焦点のEdgeHD800を持っていつもの公園に出撃です。

せっかくの長焦点鏡なので、視直径の小さな天体を狙います。地上の風が穏やかなのでガイドが比較的安定しているのはいいのですが、一方で、上空の大気が乱れているのか、シーイングはやや悪い感じでしたので、どこまでクローズアップに耐えられるかが問題です。後処理でどこまで救えるか……。



2015年10月3日 EdgeHD800(D203mm, f2035mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO800, 露出180秒×8コマ
ミニボーグ60ED(D60mm, f350mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1cで画像処理

というわけで、一発目はいて座とやぎ座の境界付近にある球状星団M75です。見かけの大きさが角度にして6分ほどしかなく、メシエ天体の球状星団の中では最も小さなものの1つ。密集度も高いので、余計にこじんまりした印象です。

星がみっちりと密集していることもあって、中心部は分離できずに飛んでしまいました。後述の土星状星雲のように多段階露光すれば中心部を救えたかもしれませんが、よほどシーイングが良くないと分解能的に無駄に終わりそうな気もします(^^;



2015年10月3日 EdgeHD800(D203mm, f2035mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO800, 露出60秒×8コマ+30秒×8コマ+10秒×8コマ
ミニボーグ60ED(D60mm, f350mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1cで画像処理

お次はみずがめ座の「土星状星雲」ことNGC7009。見かけの大きさが2分以下と小さいながらも、土星に似たユーモラスな姿が特徴的な惑星状星雲です。比較的単純なリング状に広がっているM57などとは違い、かなり複雑な構造を持っているのが見て取れます。また、涼しげな青緑色が印象的です。

ところでこの天体、カタログ上では8等程度の明るさなのですが、単位面積当たりの明るさが明るいために非常によく写り、ちょっと油断するとあっという間に中心部が飽和してしまいます。今回はなるべくこれを救い、かつ土星の輪のように見える淡いハンドル部分まで写すため、10秒、30秒、60秒の各露出で撮影した画像を加算合成する、いわゆる多段階露光を試してみました。多少は効果が出ているといいのですが……。

また、これだけ明るいと、本物の惑星のように動画カメラによる撮影&スタッキングというのも現実味を帯びてきます。これができると、シーイングの影響を排除した高解像度の画像が得られるので期待したいところです。……というか、一度試してみるか?




ちなみに上の2つの天体ですが、写野全体に占める天体のサイズはこのくらいになります。焦点距離2000mmのEdgeHD800にAPS-Cサイズのデジタル一眼を組み合わせてこれですから、その見かけの小ささたるや……。長焦点鏡の面目躍如といったところです。