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冬の赤いの

週末になると天気が悪かったり、天気がいいと月が大きかったりで意外と撮影機会に恵まれず、気づけばそろそろ冬も終盤。そういえば今シーズンは「冬空の華」とでもいうべき散光星雲の類を撮ってないなぁ…ということで、CP+に行った日の夜、いつもの公園に出撃。


この日はかなり寒かったものの、地上の風は穏やかで撮影にちょうどいい感じでした。ただ、高校生くらいのグループが、暗くなっても小1時間ほどサッカーをやって騒いでいたのが玉に瑕。距離的にボールが飛んでくる心配がなかったのが幸いでしたが…。



2015年2月14日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO1600, 露出120秒×32コマ
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1aで画像処理

というわけで、まず1枚目はオリオンが振りかざすこん棒の辺りに位置する「モンキー星雲」ことNGC2174。Hα線で輝く散光星雲のご多分に漏れず肉眼ではほとんど見えませんが、写真ではサルの横顔を思わせるユーモラスな姿が浮かび上がります。

とはいえ、透明度の高い季節にもかかわらず2等星くらいまでしか見えない都心の空。はたしてどこまで写るものか、あまり期待しないでいましたが…なんとかあぶりだすことができました。本当ならもう少し長い焦点距離で狙いたい天体ですが、クローズアップすると背景のフラット処理の難易度が劇的に跳ね上がるので、このくらいで妥協。このあたりは都心の悲しさです。



2015年2月14日 ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO1600, 露出120秒×32コマ
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1aで画像処理

そして2枚目はいっかくじゅう座のご存知「ばら星雲」。こちらも肉眼ではほとんど見えない対象です。実は以前、多少画角からはみ出すのを覚悟でED103S+レデューサー(焦点距離533mm)で狙ってみたことがあるのですが、このときは露出が不足気味だったうえにフラット処理のあまりの困難さに投げ出した覚えが。

今回は焦点距離もまずまずちょうどいい感じで、フラットもなんとかねじ伏せました。とはいえ、上のモンキー星雲もそうですが、露出がかけられない中なんとか無理やり抽出しているだけに、色が濁り気味だったり、キメが少々荒れ気味なのは仕方のないところかもしれません。


ちなみに、画像処理前の1コマはそれぞれこんな感じ。


RAW画像に手を加えず、キャノンの純正ソフトでそのまま現像したものですが、星雲など、ほとんど影も形も見えません。この状態からあぶりだせたのなら上出来でしょうか…。