PHD2の日本語マニュアルを公開しています。こちらからどうぞ。

個人サイト「Starry Urban Sky」もよろしく。

戦力増強中

SXP赤道儀に買い替えて「もう何も恐くない」とばかりに吹っ切れたのか、最近物欲が膨れ上がって困ります。「戦略的衝動買い」というか、「IYH」というか…。まぁ、ムダな買い物はしていないつもりですが。

というわけで、今回仕入れたのはこちら。




スカイデジタルの「SKYHD CAPTURE USB3.0 HDMI」です。いわゆるビデオキャプチャーユニットというヤツですね。最近ではこの手の製品、Ustやニコ生での配信などに使われることが多いみたいです。で、自分の場合、別にこれで配信をしようとか、ゲーム機の画像をキャプチャーしようとかいうわけではもちろんなく。やりたかったのはただ一点、K-5IIsのライブビュー画像をPCに出力したかったのです。


ご存知の通り、K-5IIsはローパスフィルターレスであり、非常に鮮鋭な画が撮れます。センサーも画質や高感度特性に定評のあるソニー製1600万画素CMOSですし、天体写真への適性は高いと思われます。

しかし、天体写真に使う上で、代々のペンタックスの一眼レフに共通の問題点は「ライブビューをPCに表示できない」という点にあります。天体写真におけるピント合わせは非常に厳密な作業で、これを背面液晶だけで行うのは無理があります。ましてや、背面に固定された液晶を覗く場合、往々にして無理な体勢になりやすく、これではピントノブの微妙な操作など望むべくもありません*1


大きい画面でピントを確認したいというだけなら、エーディテクノなどから出ている撮影用液晶モニターを使うという手があります。しかし高価な割に汎用性に欠けますし、撮影時の置き場所も問題です(振動を避けるため、カメラのシューには取り付けたくない)。

そこで、ビデオキャプチャーユニットの登場。これならHDMIからの出力をPCに取り込んで表示することができます。それにライブビュー画面さえPC上に表示できれば「ピントエイド」のような「ピント合わせ支援ツール」を使うことも可能です。


この手のデバイスはいくつかの会社から出ていますが、今回の場合 (1)操作の性格上タイムラグの少なさが求められること、(2)星のピント合わせが目的のため、取り込みの際の圧縮による画質劣化を抑えたい、(3)屋外で使うためACアダプターなどの外部電源がいらないこと、(4)あまり高いのはイヤ、といったあたりを勘案して、USB3.0接続で1080pを無圧縮キャプチャー可能という「SKYHD CAPTURE USB3.0 HDMI」を選択。去年11月に出た比較的新しい製品です。

なお、システム最低仕様として「Intelクアッドコア2.4GHz以上のCPU(または同等のAMD CPU)(キャプチャー時)、メモリ1GB以上、nVdia GeForce8シリーズ以上またはATI Radeon HDシリーズ以上のGPU」が挙げられていますが、結論としてはCore i5 3320M(2コア4スレッド)と内蔵GPUで動作しました。




本体の大きさは13cm×8cm×2.5〜3cmといったところ。ピアノブラックがかっこよく…見えますが、全体がプラスチック製で軽いため、お世辞にも高級感があるとは言えません。屋外で使うと傷がついて目立ちそうだなぁ…。

機器の接続やドライバ、ソフトウェアの導入・設定については、割としっかりした日本語マニュアルがついているので簡単。ただ、このジャンルの製品はなにかと相性が発生しやすいようなので、PC側のUSB3.0ドライバを含め、なるべく最新版をダウンロードして使った方がよいでしょう。


これで準備万端、あとはカメラとつなげばOK…と思ったのですが、いざやってみるとキャプチャーソフトの起動直後に一瞬だけ画面の一部が写るものの「Filter connect error」なるエラーをはいてフリーズ。ソフトのインストールし直しなども試しましたが状況は一向に改善しません。

久々に「やっちまったか!?」と焦りましたが、最終的にカメラ、取り込み側ともに画質を「720p」に指定することで無事に動作するようになりました。最初は両方とも「Auto」、次いで「1080i」の設定にしていたのですが、調べてみると「付属のキャプチャーソフトでは1080pを正しく表示できない」という報告もあり、PCのスペックなども絡んで一種のクセのようなものがあるようです。もしうまく画像を取り込めないという場合は、少し低めの解像度で「決め打ち」してみるとよいかもしれません。




ちょっと心配していた表示の遅延も、体感ではほとんどなし。ともあれ、これでK-5IIsも撮影に本格投入できそうです。特に、上の記事のような惑星の撮影では恩恵は大きいでしょう。

*1:というわけで、上の記事の土星撮影の際は、地面に這いつくばってなんとかピントを合わせていたという…。これではどこまで正確なピントが出ていたことやら。